憧れの槍・穂高縦走に挑戦!(後編)

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(前編からの続きです)

翌日目覚めてみると、今日も晴れ。
宿のご主人も、朝ごはんを出しながら、
「皆さん、喜んでください。今日は・・・晴れです!」
と、まるでこっそり用意していたプレゼントを差し出すかのように、教えてくれました。

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全ての用意を整え、5時に朝食を頂きました。
そして5時10分には出発。
まだ暗い道を、ヘッドライトの灯りで進みます。

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北には一昨年歩いた裏銀座の山々が。
谷は雲海です。

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ビックリ平を越える頃には、空が白んできました。
行く先には、常に槍ヶ岳
どこから見てもそれと分かる格好で、そびえ立っています。

否が応でも、槍への気持ちが募ってきます。

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夜は氷点下だったようで、あちこちに霜柱ができていました。

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西岳あたりで、ご来光を向かえました。
槍ヶ岳がモルゲンロートに染まります。
ついでに霜柱ちゃんたちも染まります。

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本当は昨日たどり着く計画だったヒュッテ西岳に、6時半ころ到着。
ここで計画より30分遅れ。
さて、どれだけ巻き返せるか。

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西岳から水俣乗越までは少し急な下り。
いよいよハシゴが出てきました。
本当は後ろ向きに下るのが正しい下り方なんだと思いますが、
僕はある程度の傾斜までだと前向きに下るのが好きです。
(危ないって?はい、すみません。。なんか、そっちの方が怖くないんですよね。。)

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槍ヶ岳、槍沢を眺めつつ、水俣乗越へ。
ここからは逆に、きつい傾斜の登りが始まります。
(誰かが橋でもかけてくれたら良いのにね。。なんて思ってはいけませんw)

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ハシゴも現れる岩場の急傾斜。
ここがなかなかつらかった。
朝から全然スピードが上がりません。

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ヒュッテ大槍を過ぎると、ようやく傾斜がゆるくなり、
目の前にはどかーーん、と槍ヶ岳
どかーーーん。

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すごいっす。この岩のかたまり。
そして天気もすごいです。

すれ違った方が、
「頂上行ってきたけど、もう最高でしたよ!」
と興奮していました。
「昨日までの雨で登山客も少なくて、全く渋滞もないし、頂上独占しちゃいました!早く行ってみてください!」
と強力なプッシュ!

実は、槍ヶ岳は前も上ったし、穂先はスルーして穂高に向かう方法もありかも知れない、と思っていたんですが、
やっぱりずっと槍ヶ岳を眺めながら近づいてきて、この天候だと、もう、行くしか無いですよね。
前回は頂上から何も見えなかったし。。

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ここに来て、計画の時間にも追いつきました。がんばった。
荷物を置いて、ちょっくら穂先まで、行ってきます!

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西鎌尾根から双六岳方面。
こちらは山が黄土色をしていて、少し色合いが違いますね。

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前回はじめて来たときは、岩場が濡れていて怖かったなあ。。
今回は慣れもあるのか、それほど恐くはありませんでした。
人も少なくて、ひょいひょいと10分ほどで山頂に。

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ばばーーーん!
これから向かう穂高岳方面。
憧れていた、「槍穂」の稜線です。
すでに、ここから見ただけでただ事では済まない感じが伝わってきますw

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登頂!!

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みなさん、こんにちは!

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絶景〜〜!

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この尾根を、歩いてきたんですね〜

と、一通り楽しんだところで、そそくさと降ります。
まだまだ、核心部はこれからなんです。
まだまだ今日は序盤です。

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飛騨乗越を越えて、大喰岳へ。
ここから見える槍ヶ岳は最高だよ!と誰かに教えてもらったので、
前回来た時にわざわざピストンしたんですが、
その時は結局雲で槍が見えずでした。

それが今日はこれです。快晴。
確かに、見事です。

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さ、前に進みましょう。

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次に現れるのは中岳。
普通に見たら、なかなか険しい山、という感じですよね。
こんなハシゴも現れて。

でもこの日は、その後に現れる山に比べたら、こんなのは準備運動、という感じでした。。

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中岳を越えて、南岳に向かう稜線も、なだらかです。
まだまだこの辺は、こんな走れそうな区間もあるんです。

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東側、ちょうど反対側には、昨日歩いた常念岳大天井岳がくっきりと。
やっぱり常念のアップダウンは結構標高差があることがわかりますね。

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そんな感じで進んでいたら、あっけなく南岳に到着。
振り返ると槍ヶ岳、西には新穂高温泉方面がよく見えました。

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と、ここまで、思いの外歩きやすい道を順調に進んできましたが、
あ、なんだか見えてきましたね。
うしろ、よく見てみてください。

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南岳小屋の後ろ、なんか角度がおかしいですよね。
角度がおかしいというか、稜線が途切れていて見えないです(笑)。
えっと、そこの間んとこ、どうなってるんでしょうか。。
あと、その隙間に降りたとして、どうやって登り返すんでしょう、その壁w

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というようなややこしいことは、ひとまず横においておいて、
まずは南岳小屋で今日のお昼ごはんをいただきます。
もぐもぐ。
このあたりの小屋は、ちゃんと営業してくれていてよかった!
(一応予備食も持ってきてますけどね。)

カップラーメン食べて、
ジュース飲んで、
さて、
いよいよ、
行くしかない。

キレットです。

天気も良いし、風も強くないし、
計画よりも早い時間で来ているし、
体調も悪くないし、
条件は整いました。

今日行けなかったら、いつ行けるんだ、というコンディションです。
行きましょう。大キレット

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小屋を出て小さなピークを超えると、いよいよ現れました。
どどーーん。
えええええーーー。

これ、あそこまでどうやって下りるんだ、というのもあるんですが、
それよりも向こう側の壁が謎です。

あんな岩の壁、いったいどうやって登るんでしょうか。
とりあえず見た感じ、全然登れるような気がしません。

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が、皆さん進んでいくので、僕も進みます。
まあ、きっと何か解決方法があるんでしょう。
難しいことは、その時に考えましょうw

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こんな鎖場を降りていきます。
ここでも、鎖は使わずに、ほとんど前向きに降りちゃいました。
はい、そっちのほうが怖くないんです。。

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降りてきたハシゴを振り返ります。
こういうのが何個かありました。

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随分降りてきたなあ、というところで振り返ります。
岩が、何段か層になっているんですね。
こちら側もこう見ると随分な感じですが、下りは比較的スムーズに降りられました。

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そしてこれから進む、北穂高方面。
やっぱり、最後の壁のところはよく分かりませんw

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こんな景色を横に見ながら、進んでいきます。
もしもこの下に落ちたら、、、なんて、考えないことにしましょう。

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なんども、こういう小さな岩のピークを越えて、北穂高への取り付き地点に向かいます。

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いやあー、東側(行く手左側)の谷も、なかなかですよねえーw

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ちょっとスリルがあるのは、こういう細いナイフリッジ。
持つところもなく、バランスを取りながら岩の上を進みます。
こんなところで突風にでも吹かれたら、、、いやいや、そういうことは考えないことにしましょう。

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随分近づいてきました。北穂高岳への岩壁。
これだけ近づいてますが、やっぱりどうやって登るんでしょう、これ?

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もうなんか、神々しいです。

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また、細いナイフリッジ。
よっ、よっ、よっ!

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振り返れば南岳。
またちょっと進みましたよ。

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一枚岩を鎖でよじ登りました。

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そしていよいよ北穂高岳へ登る取り付き地点のコルへ。
ここから例の岩壁登りが始まります。

上を見上げると、、
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どーーーん。
なんですかこれー。

が、よく見てみると、ルートを示すマークがそこかしこに。
ああ、やっぱりこれを、まっすぐ登っていくんですね。

もしかしたら、思いもよらない迂回ルートとかがあって、登れたりするのかなあ、とか、
ちょっとだけ期待していたんですけど。

まっすぐに、逃げることなく、登って行く。
それがこのルートの進み方のようです。

ですよね。
キレットですもんね。

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ということで、岩場を登り始めたのですが、
すみません、あまり写真がありません。
はい、余裕がありませんでした(笑)。

今から思うと、格好よく岩に張り付いている写真でも記念に撮っておけばよかった、
とか思いますが、その時はもう、登るのに必死でした。

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道は、こういう感じです。
あまりうまく伝わらないかも知れませんが、とにかくすごい角度です。
そこを、ずっと三点支持で登り続ける感じです。

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だいぶ上まで登ってきました。
登ってきた岩は角度が急すぎてよく見えませんw

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見上げると、岩。

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岩、岩、岩。

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さらに登ってきまして、、

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ようやく一つ壁を登ったぞ、と前を見上げると、
さらに2つほど次の壁が見えます。
なはー。

でも、よく見ると北穂高小屋が岩の上に見えています。
あそこがピーク。
水平距離はもうすぐそこですよね!(垂直距離は置いといて)

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また岩を登っていきます。
このあたりで、若い男女のペアとすれ違いました。
女性の方がなかなかパワフルで、
「楽しいですねー!あはははー!」
みたいな陽気なノリ。

僕も十分楽しんでいましたけど、かなり上行ってました。

「この先の岩、やばくないですか?」
と聞くと、
「え、あんなの余裕余裕!もうすぐですよ!」
とのこと。

「そ、そうすか。。」
余裕なんだ、やった!

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岩を登りながら、ふと横を見れば、この角度。
こんなところから落ちたら、、、(以下略)

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そんなこんなで、また一つ塊を上りきりました。
傾斜が急すぎて、まわりが岩すぎて、なんだかもう、だんだん快感になってきましたw

そして最後の岩場を登りきると、、、

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ばーん!
な、なんだ、このまったり空間は!!!
さっきまでの激しさはどこに行ってしまったんだー!

という激しいギャップを感じつつ、
穂高小屋へ到着。
安全な場所までたどり着いた安堵の気持ちに包まれます。

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おしゃれなショップに、雲海を眺めるカフェテラス。
この山小屋のロケーションは、すごいですね。
なんという場所に建っているんでしょうか。

この絶景を眺めながら、いつかここで一泊してみたいものです。

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もう一度、さっき登ってきたところまで戻って、
テラスでまったりしていた方にお願いして写真を撮ってもらいました。
(まったりしていたのにごめんなさい)

いやあ、我ながらよく登ってきました。
よかったー、ここまで来れて。
キレット、無事にクリアです。

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今日最大の難所をクリアしたとは言え、
まだ難所はありますし、
上高地までの距離もあります。

コーラを一本飲んで、また出発。
北穂高岳を越えて、次は涸沢岳を目指します。

ここから先は、さっきのに比べたら、それほど厳しくないだろう、と思っていたんですが、、

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涸沢カールと、奥穂高方面。
やっぱり、結構岩ですね。

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ん、あ、あれ?

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まわり、岩だらけになってきました。

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じゃーん。
涸沢岳登場!

ああ、またこういう感じなんですね。
そんなに甘くないとは思っていましたが、やっぱり甘くなかったです。

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北穂高岳ほどの標高差はありませんが、
同じように岩の壁が立ちはだかります。

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ヘルメットの方々は、どこかの壁を登ってこられたのでしょうか。

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北穂高岳を振り返るとこんな感じ。
気の休まるときがありません。

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鎖場などを越えながら進んでいくと、、

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現れました。
涸沢岳の頂上に向かう壁。
見るからに、岩ですね。

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なんかもう、壁の途中の写真は全く無いんですが、
涸沢岳に登頂!!(えw)

あまりの岩の連続に、もう、無心で登り続けていたんだと思います。
自分でもよく覚えていません。
が、とにかく登頂できました。

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目の前には、奥穂高岳が見えてきました。

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穂高岳山荘まで下ります。

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ジュースを飲んで一服。ほっ。

あー、はげしかった。

南岳から北穂高岳の間の大キレット
北穂高岳から涸沢岳の間、
この2区間が、今回のルートでは一番厳しい区間でした。
とにかく岩の連続。

ただ、行けると言えば行けました。

僕が一番恐れていたのは、ものすごく細いナイフリッジを、おっかなびっくり越えなくてはならない、というような箇所があるのかな、と思っていたんです。(キレット=切戸だけに)

確かにそれに近いところはありましたが、慎重に行けば行けないことはない、という感じでした。

また、岩場の登りも随分長かったですが、一つ一つの動作に分解してみれば、
ボルダリングジムとかでやっているような動きのほうがよっぽど難しいと言えました。

岩はしっかりホールドできますし、危ないところには鎖やボルトが打ち付けてあって、ちゃんと持つことができます。
三点支持をしっかりやって順番に登っていけば、「こんなの絶対無理!」みたいなムーブは無い、という感じでした。

ただ、やはり、垂直に近い角度に、岩を持ちながら身体を引き上げていく、というのは、通常の登山道ではなかなか体験しない動作ですし、
それが数百mもの標高差でずっと続くので体力もいりますし、
何よりも、「こんな場所にいていいのか!」という感覚、
「自分はなぜ今、こんな絶壁に張り付いているんだろうか」と思ってしまう感覚がありました。

それは恐怖でもありますし、快感でもあったように思います。

人間も結局、アリみたいなものなんだな、と思いました。

一番最初に北穂高岳の岩壁を見た時は、「あんな壁どうやって登るの?」と思いました。
しかし、いざ近づいていって、一つ一つ岩を持ちながら動き続ければ、いつの間にか頂上には辿り着いてしまいます。

なんだか、巨木を登るアリのようです。
アリはたぶん、木を見上げて、「こんな大きな木、登れるわけがない」とか、考えもしないんでしょうけど。

人間は、山を見て、「こんなの無理じゃないか」と先に考えてしまう。
でも実際は、遠くから見たらとても登れそうにない山でも、細かく順番に動作を繰り返していたら、いつの間にか登れてしまう。

そういうことって、普段の生活でもよくあることですよね。
勉強にしても、仕事にしても。

出発する前に、登山経験豊富なOくんに、
「大キレット行けるかなあ」
と相談したら、
「大丈夫ですよ!」
と二つ返事で返ってきました。

その言葉で、ぽんっと背中を押された感覚がありました。
でも実際、行けるんですよね。

もしも近くに、難しそうなことに挑戦しようか迷っている人がいたら、
「大丈夫だよ!」
と言ってあげよう、って思いました。

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さてさて、旅はいよいよ終盤戦ですが、まだ続きます。
終盤戦と言っても、今回最高峰の奥穂高岳が待っています。

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今回何回目のピークでしょうか。登頂!

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3,190mは日本第3位の高さです。

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西穂高に向かう稜線にそびえ立つジャンダルム。
このルートは、今回よりもさらに難易度の高いルートです。
このルートを進む日も、いつか来るんでしょうか。

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下を見下ろせば、今回の終着点、上高地が見えてきました。
すごい標高差です。

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吊尾根を降りていきます。
ここも少し険しめ。

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前穂高岳との分岐を過ぎ、重太郎新道の急傾斜を下ります。
だいぶ標高が下がってきました。

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岳沢小屋が見えてきました。
上から見た時は、小屋はもう平地くらいに見えていたんですが、
小屋からもまだ標高差700mもあります。長い!

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穂高よ、さようなら~

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降りてくると、紅葉でした。
葉っぱのある木、久しぶりです。

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小屋まで下りてジュースを飲んでいると、3人グループの皆さんにお声がけ頂きました。
「どこから来たんですか?」
と聞かれ、
大天井岳です」
と答えると、
「え?ええええー!」
と驚かれました。
全然意味がわからない、という風で、ちょっと誇らしかったです。
「そんなすごい人なら、一緒に写真撮ってください」
と言われて撮った一枚。
ありがとうございます。

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さらに標高を下げていくと、いよいよ上高地が近づいてきて、
植生も上高地らしくなってきます。

長い下り坂を下りきると、、

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沢登山口に到着!!!

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はあーー、帰ってきたーー!

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やったー!

いやあ、ほんと長かったです。
特に2日目。
ずっと岩場で緊張しっぱなし。
5時スタートで、4時40分着。
ほぼ12時間、歩き、走り続けました。

結果的には、天気の読みは大正解。
稜線上ではほとんどずっと、展望を楽しめました。

今年一度くらいは、と狙っていた北アルプス
山小屋が閉まる直前のラストチャンスに、無事に行ってこれました。

憧れの槍穂縦走も達成できました。

膝が痛くならず、ケガが治ってきたこともうれしい。
大満足です。

山に、天気に、身体に、感謝!

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河童橋で、ビールで乾杯!!
うまいーーーーーっ!
(毎日飲んでますねw)

憧れの槍・穂高縦走に挑戦!(前編)

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ここ数年、夏になると日本アルプスに行くのが恒例になっています。
2年前の裏銀座縦走、昨年は家族で立山から薬師岳の縦走、と、
暑さを避けながら(ここ重要!)、毎年5日間ほど北アルプスを歩いてきました。

涼しいのも良いんですが、なんでしょうか、あの、3,000m級の山独特の空気感がたまりません。
ひんやりした空気、夜空の美しさ、無駄なものが無い世界。

年に一度くらい、あの空気を吸いに行かないと、なにか、この世界にちゃんと生きていると言えないのではないか、
とまで言うとちょっと言い過ぎですが、
まあとにかく、夏が近づいてくると、気持ちが高鳴ってしまいます。

ところが今年は7月に疲労骨折をし、8,9月はほとんど走ることもできませんでした。
でも、1回くらいは北アルプスに行きたい、と諦めずにタイミングを伺っていました。

ようやく足の調子が良くなり、軽いランニングが出来るようになってきたのが9月中旬。
そこから天気を伺っていましたが、ずっと雨続き。
2回ほど計画を立てましたが、天気が悪そうで断念。

10月に入り、ようやく晴れ間も見え始めたものの、もうアルプスではすでに秋。
例年なら積雪があってもおかしくないし、山小屋の営業も終わってしまう。
というまさにギリギリのタイミング。

体育の日を含めた連休も最初は秋雨前線がやってきて雨。
しかし、秋雨前線が通過後に晴れ間が広がる可能性がありそうでした。
もうこのチャンスしか無い、と上高地行きの夜行バスに飛び乗ったのでした。。

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上高地についてみると、大雨(笑)。
バスターミナルには寒い風が吹き付け、登山の準備をしている人たちも、
「これ、本当に行くの?」という雰囲気。

夜行バスの疲れもあり、僕も出発する気にはなれず。
翌日の夜に予約しているホテルに行って、ロビーで寝てました(笑)。

2時間ほど寝ていると、次第に天気が回復して小雨になりました。
秋雨前線が南に通過したようです。

さて、ここから。
この先の天気の回復を期待して、小雨の中出発します。

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小雨の河童橋を出発。
今回の装備は、トレラン系の装備ベースに。
なるべく軽量化をはかりつつも、秋の3000m峰、宿泊もあり、ということで、
ゴアテックス、上下ダウンジャケット、予備の水などなど、普段よりは余裕を持った装備にしました。

ただし、岩稜地帯はなるべく軽量の方が安全、ということもあって、無駄なものはなるべく省き、
水や食料を抜いたベースウェイトで3.7kgほどでした。
靴は新しいローンピークで。

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まだ雨の残る道を梓川沿いに進みます。

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少しずつ雲が開けて、明神岳が見えてきました。

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平坦な道を徳沢まで進み、ここからいよいよ本格的な登山道に。

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いきなりの急登が始まります。
道はまだまだ濡れています。

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急登が一区切りすると、ところどころに小さな池が出てきます。
霧も出てきて幻想的な雰囲気に。
水たまりにぼちゃんしないように気をつけながら進みました。

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長塀山を越えて、尾根づたいに標高を上げていくと樹林帯が終わり視界がひらけてきました。
ん?あれ?
ずっと雨と霧だったので期待していなかったんですが、なんか展望が開けてきたぞ。

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おお!おおおー!空が開けてきたー!山が見えてきたー!
これはもしや、展望が開けるのか!
アルプスの稜線を、大展望を見ながら走れるのか!!!

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やっほー!蝶ヶ岳山頂に到着!
う、嬉しさが抑えられませんw
雨がやんでくれたら御の字、くらいに思っていたので、
まさかの展望に興奮。

近くにいた登山者の方に聞くと、
「昨日からずっと雨で、やっと今はじめて展望が見えたんですよ」
とのこと。

「これから上高地に降りるんですが、もったいないので展望を少し楽しんでから下ります」
と仰っていました。

そんなタイミングで稜線に上がって来られたなんて、なんてラッキーなんでしょう。
ああ、来てよかった。。。

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さあ、ここから、北アルプス稜線の縦走の開始です。
槍ヶ岳も見えてきた!やばい!
ここから見えるこの稜線を、ずっと伝っていきます〜。

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ということで、今回のルートをここでご紹介します。

上高地からスタートして、長塀尾根からまずは蝶ヶ岳に。
そこから常念、大天井を越えて、できれば西岳まで行って宿泊。(これは後で出てきますができませんでした)
これが1日目。

2日目は東鎌尾根から槍ヶ岳に登り、
そこから難関コースの大キレットを越えて北穂高
さらに奥穂高岳を越えて、吊尾根から岳沢を下り、再び上高地へ。

という、1泊2日で上高地からぐるーーーっと、反時計回りに回ってくるコースです。
今まで行ったことがあるのは、西鎌尾根からの槍ヶ岳と、涸沢カールからの奥穂高岳だけ。

その2座はピンポイントで通りますが、稜線はほぼ全てはじめて通るルートだらけ。
北アルプスの名峰を巡るルートを、めいっぱい回ろう、という欲張りルートです。

キレット涸沢岳の岩場は、険しい岩場が続く難所。
昔から、「いつかは行ってみたい」と思っていましたが、行けていませんでした。

山岳部出身の両親が、「あんなとこよう行かん」と言っているのを、子どもの頃から聞いていて、
一般人が手を出してはいけない場所、という印象でした。

でも、2年前に裏銀座を縦走した時に、槍ヶ岳に登頂を果たしつつ、
穂高に続く稜線の姿を見て、
「次に来るときには、槍穂の縦走に挑戦したい」と思っていました。

自分でも行けるのだろうか、という不安がありましたが、
いろいろな方の記録を読み、経験者に話を聞いて、行ってみることにしました。

そんな憧れのルートに、いよいよ挑戦です。

ただ、スタートからすでに2時間遅れ。(寝てたのが悪いんですがw)
そもそも激しいコース設定なのに、本当にたどり着けるのか。

今回は治りかけの膝のこともありましたし、絶対に無理はせず、
難しそうだと思ったらすぐに下山する、という作戦で、
「行けるだけ行くけど、キレット越えられたらラッキーだな」、
くらいの気持ちで挑みました。

入山するときは、とにかく無事に帰って来られること、を山に祈りました。

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ということで、進み始めた稜線ですが、
もう、景色が最高です。

槍ヶ岳に続いて、穂高岳もしだいに見えてきました。

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まさに天空の散歩道、というような絶景の中を進み、蝶槍を通過。

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振り返ると蝶ヶ岳が霧に隠れたり現れたり。
東側からは霧が上がり続けています。

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次に目の前に現れるのは常念岳
一度下って、結構な標高差を登り返します。
近づくと、なかなかの迫力。

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この岩がちで急な稜線を登っていきます。

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えっさ、ほいさ、えっさ、ほいさ。
興奮で軽快に進んできましたが、急な登りに少し疲れを感じ始めました。
たまに立ち止まって息を整えつつ、登っていきます。

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そして常念岳に到着!
縦走のアップダウンなんて、大したことない、と舐めていてはいけません。
大したことありました(笑)。
標高差400mくらいでしたが、空気が薄いのもあるのか、
この日はこの登りが一番しんどく感じました。

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頂上からは槍穂が一望!
すごい!
やっほーーーーーーー!

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頂上で一服したら、また先へ進みます。
北には大天井岳が見えてきました。
少なくとも今日あそこまでは辿り着きたい。

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鞍部まで下ると、常念小屋に到着。
下り道では、常念小屋に宿泊予定の空荷の方々とたくさんすれ違いました。

もうすでに今日の宿に辿り着いている人もいる時間なんですね。
でもまだ行きますよ。

まずは小屋で腹ごしらえ。
温かいラーメンに、冷たいジュース。
こういうのを要所要所で頂けるおかげで、こんな格好で山を楽しめてます。

さてここで、今日の宿のことが少し気になっていたので、
小屋の方に「ヒュッテ西岳は何時までにたどり着けば、夕飯を頂けますか」と聞きました。

すると、という衝撃の回答が!

「西岳さんの営業は昨日で終わりましたよ」

がーーん。えええー!

ということは、今日はその手前の大天井岳で宿泊するしかなさそうです。
ただでさえ厳しい行程だったのに、明日のキレット越えは厳しいかな、という情勢になってきました。
まあ仕方がない。

ひとまず、進むだけです。
あとはもう、なるようになる。
もう、あれこれ特に考えない(笑)。

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腹ごしらえしたら、小屋をあとにして大天井岳を目指します。
このあたり、傾斜もなだらかで歩きやすかったです。
小走りくらいはしてたかな。

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もはや、「晴れ」と言うべき天気になってきました。
「そういえば日焼け止め塗るのも持ってくるのも忘れたわ」と、
急に日焼けのことが気になり始めました。
(結果的に、次の週会社で「顔真っ赤じゃないですか!こんな季節にどうしたんですか!」と言われる羽目に)

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ちょっと分かりづらいですけど、途中でお猿さんの大群に遭遇。
3,40匹くらいいました。
こんな高いところまで来るんですね〜。
家族連れの登山客がいて、子どもたちがキャーキャー言って喜んでました。
猿も面白かったですけど、楽しそうな家族も良かったです。

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東天井岳付近は、ハイマツの緑がきれいでした。
西日に映えますね。

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そして大天井岳へ。
あと少し登れば、今日最後の大きなピークです。

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見えた!
大天荘!
大天井岳

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なんかほっとします。

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そのまま荷物を置いて、大天井岳頂上をピストン。

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これから進む、槍ヶ岳へ続く稜線。
槍ヶ岳の手前で、一度結構下がるんですね。(しんどそうですw)

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燕岳から連なる表銀座コース。
燕岳もいつか行ってみたいです。

大天荘で、念のためもう一度聞いてみましたが、
やっぱり「西岳は昨日で営業終わりました」とのこと。
行けるところまで行こう、ということで、大天井ヒュッテまで下って初日に行程を終えました。

明日の行程を考えると、ちょっと厳しくなってしまいましたが、
まあ、2時間早く出ていたとしても、さすがにヒュッテ大槍まで行くのは難しかったでしょうし、
ということは、いずれにしても今日はここまでだったということ。

きちんと進めるところまでは進めたので良かった良かった。

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ということで、乾杯!
山よ、ありがとう!
うまっ!

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晩御飯も、いただきます!
標高2700mで、トンカツ!!
うまーっ!

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食事後に、山小屋のご主人が、夕陽鑑賞ツアーに連れて行ってくださいました。
ヒュッテから標高差130mほど登った「牛首展望台」へ。
同宿の皆さんと一緒に夕陽を見に行きました。

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みんなで歩いて、おしゃべりして、なんだか楽しいです。

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そして、この絶景。
太陽さん、今日もありがとう!
こんな景色を見せてくれてありがとう!

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太陽が沈んでも、空が色づきなかなか離れられません。

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こんな時間に、こんな場所で、大空と山を見上げている。
宇宙もすぐそこ。

人間って小さいな。
山って大きいな。
空って広いな。

でも、人間もやっぱり、すごいよな。

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宿に戻って空を見上げると、月が輝いていました。

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夜が深くなると、満天の星空に!
こんな星空を見たの、いつぶりかな。

翌日に備えて、夜の7時には寝ました。

明日は、ヒュッテの朝ごはんを頂いたらすぐに出発して、行けるところまで行く。
もしも天気が良くて、岩が乾いていて、風もそんなに強くなくて、そして時間に余裕があれば、キレットに挑戦する。
そのどれかが整わなかったら、潔く、下りる。
そう計画を決めました。

すぐに眠りについたものの、
本当に行けるのだろうか、
明日はどうなるのだろうか、
不安や興奮からか、何度も目が覚めました。

考えていても仕方がないので、また眠ります。
さてさて明日は、どんな1日になるでしょうか。

(後半に続く)