滋賀県一周トレイルに挑戦!その3

北回りの初日は、比叡山を越え、大原から天ヶ岳、ナッチョを経由して京都府最高峰の皆子山へ。そこからできれば比良山系に入り、権現山、蓬莱山を越えて、比良山荘くらいまで行けるとベストです。

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比叡山から大原へ

比叡山は先週、大会で走ったばかり。兵どもが夢の跡、じゃないけど、1000人ものランナーがレースで走った道を、あとで一人でゆっくり走るのって、なんだか余韻に浸れて楽しいです。ここはペース抑えて、慎重に下っていたよなあ、とか、周りにたくさんの人、いたよなあ、とか。

急な登りは歩きつつ、緩めの坂は小走りで進みます。レースに比べたら、全然ゆっくりペースだし、このくらいのペースなら一日走れるはず。(と、この時は思ってました。)

水飲対陣跡から雲母坂に合流し、上っていると、向かいからトレランの方が4名ほど下りてきました。皆さんゴミ袋をぶら下げているので、大会関係の方だと思い、ご挨拶したらやはりそうでした。スタッフの佐伯さんをはじめとした皆さんで、コースの清掃と見回りだそうです。

僕はいつも選手で参加させてもらっていますが、こうやって、多くの選手が知らないところで、コースの清掃などをしてくださっている方々のおかげで、走らせてもらえているんだな、と思うと、頭が下がる気持ちになりました。本当にありがとうございます、とお礼を言って、すれ違いました。比叡山走らせてもらえて、楽しかったです。

ケーブル比叡の駅を過ぎ、つつじヶ丘にたどり着くと、ツツジが満開!ここで、今回の新兵器登場。
ドドーン!(ドローン!)

【国内正規品】DJI ドローン Mavic Pro 時速64km 4K 衝突回避システム CP.PT.000503
【国内正規品】DJI ドローン Mavic Pro 時速64km 4K 衝突回避システム CP.PT.000503

そうです。ドローンです。

ドローンが出てきた頃は、大きいし、山に持っていっても撮影している暇なんて無いし、自分が買うことなんて無いだろうと思っていたんです。ところが、さすがにこの手の機器の進化はめざましくて、昨年発売されたDJI Mavic Proは、折りたたみ式で重さなんと730g。ペットボトルより少し大きいくらい。さすがにこの大きさなら、トレランザックに入ってしまいます。

しかもこの小ささで、4K画質で撮影可能。さらに、被写体を認識して、勝手に追いかけてきてくれるActive Trackという機能がついています。ということは、一人で走りにっても、自動的に自分を追いかけさせて動画が撮影できるってこと?それなら僕でも使えるかも?

そう思って、YouTubeにアップされているMavic Proの動画をいくつか見ていたら、完全にやられてしまいました。何このきれいな映像。そしてActive Trackの楽しそうな動画は。

ということで、いつの間にか、トレランザックの中にはMavic Proが入っていました(笑)。
これがはじめて山で撮影してみた動画です。(4K画質ですので、ぜひ大画面で画質を上げて見てみてください)


170521つつじヶ丘

という感じで、遊んでますが、まだたったの10kmしか進んでいません。ひとしきり楽しんだあとは、再びトレイルに。京都一周トレイルを北に進みます。

比叡山のレースでは、ここから一度大原側に下り、せりあい地蔵のきつい上りを登り返しますが、さすがに今回は稜線沿いに走ってもバチは当たらないでしょう。走りやすい道をせりあい地蔵まで進み、横高山、水井山の急登を越え、大原に下ります。

下り道で、気持ちのよい杉林を抜けるので、ここではじめてのActive Trackに挑戦!


170521仰木峠

たのしいー。んですが、はじめての撮影で、ドローンくんがちゃんと着いてきてくれるのか心配で心配で。(いきなりこんな狭い場所で試すな、というツッコミは自分でもわかっています)

そして、実際に最後は木の前で立ち往生(じゃない、飛び往生?)してしまい、止まってしまいました。一応、前方のカメラで障害物を認識して、自動的に止まってくれるので、衝突は避けられたのですが、やっぱりちょっと狭すぎたみたいです。追いかけっこするには、もう少し広い空間が必要のようです。

しかしこいつ、なかなかかわいいやつです。ちょっと迷いながらも、けなげについてくる辺り。だんだん愛情が出てきました。よしよし。

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そんなことをしていたので、大原のファミリーマートにたどり着いたときには、13時過ぎになっていました。これはちょっと、比良山に入るのは難しそうです。でも、皆子山までは行けるでしょう。(と、この時は余裕で思ってました。)

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天ヶ岳、ナッチョ、皆子山

しばらく休んで、寂光院の横から寂光道へ。なだらかで、走りやすい道が続きます。天ヶ岳が近づくと登りが急になり、しばらく行くと天ヶ岳の分岐へ。ピークは何度か行っているのでスルーして、百井集落に出ます。

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暑い。水が欲しい。百井青少年村で水をもらってごくごく飲みました。

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ここからナッチョに向かいますが、だんだんバテてきました。暑さと、疲れでしょうか。
トレランレースに比べたらゆっくりペースのはずなのに、おかしいな、と思いつつ、ナッチョを登っていくのですが、ゆっくりしか進めません。
ドローンの重さを背中にずっしりと感じ始めます。

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ナッチョから一度修道院のある谷に下り、皆子山へ道のない尾根を登ります。これまで2回通ったことがありましたが、登るのははじめて。そして、めちゃくちゃ急な登りだったことに気づきました。全然進まない〜。

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途中で腰を下ろしておにぎりを頬張りつつ、しばし休憩。体の周りを、ハエがぶんぶん飛び回っています。
このペースだと、そもそも皆子山を降りた時点で17時過ぎそうです。比良山なんて論外でした。

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こういう時に限って道を間違えたりするもので、山頂の手前で1回、山頂通過直後にも1回道を間違えて行ったり来たり。焦ってました。
それでもようやく山頂を越えて、平へ下り、初日は終了。降りてきたのは18時近くになっていました。いやあー、きつかった。

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初日の距離は40km。累積標高2400m。これが1つの基準になりそうです。

宿舎へ

今回の旅は、毎日宿舎に泊まるスタイルにしました。そして、宿舎への移動や、途中の補給などを、文香さんに車でサポートしてもらいました。
本当は寝袋やツェルトを持って歩くと格好良かったかも知れませんが、毎日何度も車でアプローチできる車道に出るため、無理に山の中で泊まる必然性もなかったですし、それよりは身軽になって距離を稼ぎつつ、毎日宿舎で洗濯や充電をし、風呂に入って食事を食べ、ゆっくり眠って、英気を養うことにしました。

初日は自宅まで戻れる距離だったのですが、一度戻ってしまったら、翌日出発する気にならないんじゃないか、と思ったので、大原に宿泊しました。大原の里に泊めてもらいましたが、温泉でリフレッシュでき、味噌鍋が疲れた身体に染み渡りました。宿に泊まって正解でした。

初日を終えてみて、翌時出発する気持ちになれるのかどうか心配になるくらい、どっしりと疲れました。明日、どんな気持ちで朝を迎えられるのか分かりませんが、ひとまず今日は、ゆっくり休みます。用意を済ませて早く寝ました。

夕方に一度、大原でもドローンを飛ばしてみました。
一緒に宿泊に来ていた、フランスからの外国人観光客4人組が、物珍しそうに寄ってきて一緒に見守ってくれました。


170521大原

さて、明日は比良山、登れるかな。

(つづく)

滋賀県一周トレイルに挑戦!その2

2017年5月20日、土曜日。午前9時32分。京都市中京区の自宅前をスタートしました。

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朝の5時とかでもなく、9時半です。週末の朝、普通に起きて、ご飯を食べて、ひよっこを見て。
「さて、そろそろ行くか」と。平日に仕事に出かけるように。

北白川のバプテスト病院まで走り、そこから比叡山の登りに入っていきます。ここはいつもの見慣れた道。だけど、三重県に続いている道。

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長らく塩漬けになっていた、滋賀県一周計画への気持ちが高まったのは、いくつかの要因がありました。

一つは、前回も書いた、丹羽さんたちと三重県まで走ったこと。これで、フォロワーが出てきた。三重までの道を走り通したのが、自分ひとりじゃなくなった。南ルートを走り終えた人が出てきたので、次は北ルートも開拓しておかなくちゃ。丹羽さんが次に走りたい山がなくて困るかもしれない(いや、困らないです)。そうこうしていたら、西さんも南ルート走るって言い始めるし。西さんも困るかもしれない。(いや、困らない)

もう一つは、友だちのいちごちゃんが、会社をやめてアメリカのロングトレイル、PCT(Pacific Crest Trail)に挑戦すると言い出したこと。PCTというのは、アメリカ西部の山脈を、メキシコ国境からカナダ国境まで、南北に縦断するトレイルです。その長さは4000km以上。(4000kmですよ。4000。400じゃないです。4000です。)

小柄な女性が、5ヶ月もかけて、アメリカをトレイルで縦断すると聞いたら、もうなんか、完全にやられたな、と。(張り合ってどうする)
というか、正直羨ましかったです。自分も行きたい。

(ちなみに、いちごちゃんのPCTへの挑戦は、現在絶賛進行中です。きっとこちらのブログ『いちごいちえ』でも、いずれその様子が読めるようになると思います。がんばれ、いちごちゃん。)

いわゆる「片雲の風にさそはれて」というやつです。芭蕉先生、最高です。シンパシー感じます。同じ種類の人だったんだと勝手に思っちゃいます。

月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。
舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にして旅を栖とす。
古人も多く旅に死せるあり。
予もいづれの年よりか、片雲の風にさそはれて、漂泊の思ひやまず

「月日は百代(はくたい)の過客(かかく)にして、行かふ年も又旅人也。」ですよ。
奥の細道のこの冒頭、大好きです。そもそも、過ぎゆく月日も、旅人のようなものだと。お前だけ、なに一箇所に留まってんだ、と。(言ってない)

「舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にして旅を栖(すみか)とす。」ですよ。
そもそも、船で暮らしたり、馬を引いて暮らしている人は、普段から旅をしているようなものだぞ、と。そうやって旅を暮らしにしている人がいるのに、お前だけ、なに一箇所に留まってんだ、と。(言ってない)

「予もいづれの年よりか、片雲の風にさそはれて、漂泊の思ひやまず」。
片雲の風は、漂う雲であり、旅をすみかとする自由な旅人でもあり。旅人が、漂う雲のように自由に、軽やかに、彼方に向けて、漂っていくのを見て、自分にも漂泊の思いがやまないわけであります。(分かりますよね)

そろそろだな。そろそろ残りのルートに行かなくちゃ。時が迫ってきたな、と思いました。

行くとしたら、ベストシーズンは5月だと考えました。
梅雨が始まってしまうと雨になるし、7月をこえると暑くなります。秋になると涼しいですが、日が短い。
5月。比叡山のトレランが終わった下旬辺り。ここが1年で最大のチャンスだと思い、自分のGoogleカレンダーに「滋賀県一周?」とクエスチョンマーク付きで、8日間くらいの線を引いておきました。多分330kmくらいだから、8日間くらいあればたどり着けるかな、と。
確定じゃないけど、どうしても外せない予定は入れない、くらいの感じで。

なぜ「?」付きかというと、仕事の調整が付くかどうかわからない、という現実的な問題もありましたが、それよりも自信が無かった。
8日間も連続で走り続けられるのかどうかが、自分で分からなかった。体力的にも、精神的にも。
だから、「行く?ここらへんで行っとく?」くらいの感じで、線を引いておいた。毎日カレンダーとにらめっこしながら、自分の身体と心と相談していた。どうする?行ける?と。

そうこうしていると、ちょうどタイミングを合わせて、絶好の晴れ間がやってきた。
大雨だった比叡山トレイルランが終わり、しばらくして、空はくっきり。どこまでも晴れ渡る快晴。tenki.jpで週間天気予報を見たら、向こう一週間全部晴れマーク。

奇しくも、いちごちゃんがPCTを歩き始めるタイミングであり、西さんが南ルートに挑戦する日でもあり。なにか、全部がぴったりと一致して、背中を押された気がしました。
よし、行くぞ。旅に出かけよう。

家を出発することに決めたものの、三重まで行くとか、8日間走るとか、誰にも言わなかった。自信がなかったから。どこまで行けるか分からなかったから。自分でも、本当に決めていなかったから。ただ、日常生活のように、毎日朝起きて、走って、食べて、夜になったら寝る。続けられなくなったら、そこでやめる。それで行けるところまで行こう。

朝の9時半に出発したのは、そういう気持ちの現われでした。気負わずに、朝普通に起きて、普段週末にトレランに行くように準備して、走り始める。そうやって、ごく普通にスタートしたかったのです。

(つづく)