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花背トレイルランでトレランデビュー

10月25日、初めてのトレラン大会に出場した。手作り感があって、温かい大会だった。

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距離は25km。トレラン大会にしては、短めだが、コースの難易度はなかなかのもの。
花背の交流の森からスタートし、八丁平、峰床山方面へ上り、一度峰定寺の方向に下ったあと、また尾根を越えて帰ってくる、という累積標高1400mのコース。累積標高が距離の5%を越えると、アップダウンが激しいコースだ、と言われるそうなので、25km x 0.05 = 1250mを超えるこのコースはなかなかアップダウンがある、ということだろう。

25kmという距離は、普段のトレーニングでも走るようになってきた距離で、すでに未知の距離ではなかったけど、ほとんど休まずにぶっ続けて走り続けるのは初めて。果たして、自分の身体が持つのか、足が持つのか、走り続けると身体はどうなってしまうのか。まだまだ分からないことが多い未知の領域に足を踏み入れることになるのは間違いなかった。

でも、これまでずっと一人で山を走ってきて、たまに二宮さんとか西さんとかと一緒に走ったくらいで、最大でも3人でしか走ったことがなかった。それが、何百人もの人たちと一緒に山を走るというのはどういう感じなんだろう、とワクワクした。

みんなどんな風に山道を登るんだろう、どんな風に下りを駆け下りるんだろう、どんな装備を使って、どんなフォームで走るんだろう。たった3人で走っただけでも、走り方は人それぞれ違っているし、それがトップレベルの選手も含めてたくさんいたら、と思うだけで楽しみだった。

ただ、先週の前半からアキレス腱が痛み始めて、一時は軽いジョギングをするだけで痛み、週の後半はほとんど休養にしていた。だから、そのアキレス腱がどれくらい回復しているかわからなかったし、いざ走り始めてみて、どこまで足が持つのか、本当に走れるのかどうかもわからなかった。

さらに、アキレス腱の前は足首の下が継続的に傷んでいて、そちらもあまり無理はできない。体力的には少しついてきたけど、どちらかというと足がなかなかまだ出来上がってきていないし、そういう中で、あまり無理をせず、ちゃんと走りきれるようにしよう、と思っていた。

だから、順位云々の前に、まず足のことが心配だったし、あとは、それなりに足が動いて、ちゃんと走れそうだったら、25kmの区間でできるだけ自分の力を出し切ってゴール出来たらいいな、と思っていた。

300人エントリーがあった、ということで、「何位くらいで帰ってきて欲しい?」と聞いたら、奥さんのあややさんは「100位以内かなあ」と言って、息子(とっきー)は「1位かなあ」と言っていたw。それでまあ、二桁に入れると良いね、と言っていたんだけど、心のなかでは50位以内、できれば30位以内くらいに入れたらすごいな、と思っていた。

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いざスタートが近づくと、やはり自転車のレースとは違ってほんわかとしている。気合を入れてウォーミングアップをしている人もそれほどいないし、ストレッチをしたりするくらいで、特にスタートの位置取りも激しくないし、なごやかな雰囲気でスタートが近づいた。僕もあまり緊張というものは感じずに、とにかくみんなと走れるのが、そして、この1週間ずっと走るのを我慢してきたので、そもそも走れることが、さらに山を走れることが楽しみだった。

今日はどんな我慢もしなくても良い。今日ばっかりは、ある程度足を痛めてしまっても、思いっきり走って良いんだ、と思うだけでわくわくしていた。

午前10時にスタート。スタートからしばらくは舗装路を走り、そこから林道に入る。なぜか先頭付近に並ぶことができたので、そのまま先頭集団に少しついていくけど、さすがにペースが速いな、と感じたので、少し下げた。と言いつつ、腕時計を見たら、最初の1kmは4'22"だった。はや!身体はそんなに速いというつもりはないのに、普段のランニングで言えば最速ペースくらいのペースだった。

さすがに飛ばし過ぎかな、と思いつつ、一応自分の中では、「25km走りきれるくらいの強度で走ろう」と心がけていて、心拍数も160以下くらいを目安に進もうと思っていた。スタート直後の興奮もあるんだろうけど、身体はこのままいける、という感覚だったので、そのまま進んだ。

登山道に入る木の橋を渡る分岐にたどり着くと、スタッフをやっている後輩の尾崎くんが立っていて、「近藤さん!飛ばし過ぎですよ!」と叫んでいた。うーん、やっぱりそうかもしれない。「そうかもー!」って返事をしつつ、山道に入った。

山道に入ると僕の周りはみんな歩き始めた。おおー、よかった、さすがにこの上りを全員走るわけじゃないんだ、とちょっとほっとしつつ、前の人にあわせて歩いた。そうそう、そもそもトレラン大会が初めてなので、どれくらい歩いて、どれくらい走るか、とか、どれくらいのペースで登るのか、というのもさっぱり分からない。だから、特に最初は周りの人に合わせて進んでいた。

登山道を登り切ると林道に出て、ここもしばらく上りが続く。歩くか走るか微妙な傾斜だった。この傾斜を、黄色い短パンで経験豊かそうな人が、歩いたり走ったりうまく混ぜながら進んでいた。その人に小走りで追いつくと、突然走り始めてびゅーんと前に行く。そこからまた歩き始めて、そうするとまた追いつく。たまには抜かしたりしたけれど、またその人は走り始めて前に行ってしまった。

こんな風に、歩きと走りでスピードにそんなに差があるのは効率的なのかどうか分からなかったけど、そういう走り方もあるのか、と思った。結局この黄色い短パンの人には、終盤で前の方に一度姿を見たものの、その後は追いつけず、ゴールでは結構離されてしまった。というわけで、僕よりも強者だったことは間違いない。ゴール後に少し立ち話をして、林道で歩いたり走ったりしていましたね、と話したら、あれが僕の戦術です、と言っていた。なるほど。

そういう僕は、歩きでも走りでも、あんまり速度に差があると身体の負荷が上下するかな、と思い、同じような負荷になるように進んでいた。
そうして進んでいった林道が終わると、次はシングルトラックの下りセクション。

下りもまた、レースではどれくらいのペースで皆さん走るのかが分からない。分からないので、近くを走っていた人に「お先にどうぞ」と道を譲って、後ろからついていった。僕の前に行った人は、下りも少し早めで、ちょっと無理してついていくと転んだり足を痛めそうだったので、無理をせず、次第に離されながら後ろを走っていった。

ところが、その人が途中で道を見失ってしまい、脇にそれて迷っていたので、「こちらですよー」と声をかけたら戻ってきた。それからしばらくいくとまた道を見失ってしまい、そこでまた僕が追いついた。2回も道を間違えたので意気消沈してしまったのか、今度は「お先にどうぞ」と言われて、僕が前に出ることになった。ありゃー、あんまり前に出たくないんだけど、と思いつつ、前を行った。尾根道の下りはフカフカで、とても走りやすかった。

下りきって林道に出るとしばらくして最初のエイドステーション。この道は自転車で八丁平に行く時に何度か通ったことがある道なのでよく知っている。エイドではスポーツドリンクをボトルいっぱいにして、バナナを頬張ってすぐに走りだした。30秒くらいだったかな。

そこからまたシングルトラックの登りに入るが、この辺でちょっと疲れを感じていて、スタート直後からかなりの心拍数で走り続けてきて、そろそろ一息入れたほうが良いな、と思ったので、周りの3,4人の集団からわざと遅れ、バナナを食べながら少しゆっくりめに歩いた。

歩いていると、だんだんと身体が回復してきたので、再び元のペースに戻し、登って行く。と、八丁平が近付いてきてどんどん景色が綺麗に。この辺り、ちょうど紅葉の真っ盛りで素晴らしい色をしていた。そんな景色を見ていたら、急に元気が出てきて、「ひゃっほー」とか「紅葉キレイですね!」と他の選手やコース案内をされているスタッフの方に話しかけたりしていた。この辺りで、何人か追い越した。八丁平に入り、ゆるい上りで思わずiPhoneで写真を撮っていると、後ろにいた選手にびっくりされた。ここはそういう順位ではないらしいw

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それで、そんな風に走っていると、コース案内のスタッフの方が見えてきて、近づくと「20位ですよ!」とおっしゃる。「え?僕がですか??」と思わず聞き返してしまったが、「そうです、20位です!がんばって!」とのこと。なんということでしょう。

まあ、スタートの時に先頭付近でスタートしたので、自分の前にいる選手の大体の数は分かっていたつもりだけど、それでも30-50位くらいだろうと思っていた。なのに20位なんて。どういうことだろう。やっぱり飛ばし過ぎなんだろうか。でももう、コースの半分くらい来ているし、後半は下りも多いし、もしかしたらこのまま持つんじゃないかな。そうしたら、20位でゴールとかもあり得るかも?などと思って、想定外の順位にちょっとワクワクしてきた。

とはいえ、後半になにが起こるかわからないのであまり無理はせず、上りは歩いて、下りは慎重に下る。京都府第二の高さの峰床山に上り、山頂で「わーい、登頂!」とバンザイしたら、またまた他のランナーさんにちょっとびっくり顔をされた。さて、くだるぞー、とそこから下っていった。

登山道を終えて、林道から舗装路の下りへ。ここはスタッフのかたが全然いなかったし、他のランナーさんも見えなくなってしまったので、本当に道があってるんだろうか、とちょっと不安になった。林道を下っていると、ついにやってきた身体の不調、なんとふくらはぎが攣り始めてしまった。そうか、足首や関節ではなくて、そうきたか、という感じだった。これまでトレランの練習をしていても、足がつったことはなかったんだけど、やっぱり今日はこれまでとはレベルの違う強度で、しかもほとんど止まらずに走っているからなんだろう。うーん、なんとかだまくらかしながらゴールまで行くしかないな。と、考えつつ、とりあえず足のつりに効く方法はないかと考え、そういえばつりが治りやすいというマグネシウムが入ったマグオンを持ってきていたはず、と、トレランザックから出そうとするも、他のジェルが順番に出てきてなかなかマグオンにたどり着かない。3回目くらいでようやくマグオンにヒット。すぐに飲み干して走り続ける。

確かに足はつっているけど、そもそも走る前はアキレス腱や足首を痛めていて、本当に走りきれるんだろうか、と不安に思っていた。ところが、いざ走り始めてみると、興奮のせいかなんなのか、アキレス腱や足首の痛みは何も感じなかった。僕が神経質になりすぎていたのかもしれないけど、とにかく、関節が痛くて走れなくなることに比べたら、足のつりくらいで済んでいるのはとてもラッキーだと思った。

林道の下りは足に悪そうなので、なるべくピッチを上げて、190歩/分くらいのハイピッチで下った。一番早いところは1km3分45秒くらいのペースが出ていて、自分でもびっくりだった。

林道を下りきると最後のエイドステーション。ここが19km地点。ゴールが25kmなので、ここからゴールまでは6kmしかない。
本当は少しゆっくり休んだほうが良いのかもしれないけど、もしも順位を上げるにはまたとないチャンスだと思った。ここまでの走りでも、他の選手と比べて、比較的上り道がまだ得意なのかな、と感じていたので、ここからはじまる最後の急登を頑張れば、少し順位を上げられるかもしれない、と思っていた。補給もまあ、6kmなら持つだろうということで、このエイドは一瞬ポカリをボトルに入れただけで、他は何も取らずに10秒ほどで通り過ぎた。エイドで少し止まっていた方を一人パスした。

ここからは巨木百選に選ばれているという、三本杉を通り、最後の尾根ごえの道に入る。三本杉は前から来たかったんだけど、峰定寺までは何度か来たものの、そこから結構登るので来たことがなく、見れるのを楽しみにしていた。林道を詰めていくと行き止まりの場所にその杉が姿を現した。確かに立派な杉だ。しかも三本が、どうどうと立っている。これはこれは~、と思わず木に敬意を感じ、立ち止まって柏手をうち、お辞儀をしてから通り過ぎた。そんなことをした人もあまりいないかも知れない。

ここからはシングルトラックの激坂。事前にプロフィールマップで、結構登ることは把握していたけど、予想よりもはるかに急坂で、しかも長かった。今回のコースで一番激しい上りが最後に待っていたわけだ。

下りは足がつって飛ばせないし、自分が追い上げるとしたらここしかない、と思って、早足の歩きで登って行くが、さすがにしんどくて、10秒ほど立ち止まって息を整えたりした。しかし、だんだん高度を上げていくと前に選手が一人見えてきて、頂上の手前でかわすことができた。一応作戦が功を奏し、さらに順位を上げられたわけである。

しかし、この順位アップは長くは続かなかったw.下りに入ると、また足がつりはじめ、身体もだいぶ疲れてきていた。少し集中力が切れたのか、階段が続く下り道で足をひっかけ、そのままずざーーーっと転んでしまった。前向きにまっすぐ手を伸ばしながら転んで、まるでアニメのようだった。いてーーーと、思いながら、身体の傷を確かめていると、さきほどかわした選手がすぐ後ろからやってきて、一声かけて抜き去っていってしまった。あうー、せっかくがんばったのにい。

まあこの際、順位はそれほど気にしなくても良い。それよりも、身体の怪我がそれほど大したことがなく、腕を擦りむいたくらいですんで良かったと思った。これなら続きも走れそうだ。

そのまま下り続け、ついに下の林道に出た。ここまでくれば、林道を少し走り、舗装路に出て、ゴールに向かうだけだ。と、ここでまた足がつりはじめる。不思議と、登山道に入ると足のつりは治り、林道に入るとすぐにつるようだった。どうも筋肉にかかる負荷でそういう風になってしまうんだろう。

足はつっているものの、ここまでくればあと2kmくらい走るだけ。なんとか足をだましつつ、道を走って行くと、いよいよ舗装路との分岐が見えてきた。と、そこに見覚えのある姿が!なんとAさんととっきー、それから、保育園で一緒だった木村さんがそこで応援してくれていた。僕から「おーい!!」と声を出すと、あややさんが「え!?え!?」と驚いている。そして、僕だとわかると、「ぎゃー!!」と叫んでいる。どうやら、想定していたよりも遥かに前の方で僕が帰ってきたので、僕が現れるとは全く想像していなかったようだった。

スタッフをしていた木村さんも「え!?」という感じで、走っている僕からも驚いている様子が分かった。「いやあ、こんな順位で帰ってきちゃいましたよ」なんて言いながら、通り過ぎると、とっきーがそのまま走ってついてきた。よし、このままゴールまで一緒に行こう、と、一緒に走り始めた。

ゴールまでの距離は600m。ちょっとした距離がある。最初は勢い良く走り始めたとっきーも、途中で少し息が切れ始め、僕から遅れそうになった。後ろを振り返ると、僕の一人あとの選手はまだ少し離れていて、追いつかれることもなさそうだったし、「ペース合わせるから一緒に行こう」と、そのままとっきーの手を引いてゴールへと向かった。

最後は赤い絨毯の上をゴールテープに向かって走り、ゴール!とっきーと手をつないでゴール出来た。

結果は2時間57分で16位。主催者の宿院さんとは、申し込みの時に少しやり取りをさせて頂いていたのでお名前を存じ上げていたんだけど、ゴール後に宿院さんから声をかけて頂いて「すごいですね」と言ってもらえた。

ゴール後にスイーパーのスタッフをやってくれていた尾崎くんとも話をし、すごいすごいと言ってもらえた。どうも、3時間を切るのが目標、という方が多いらしく、最初のトレラン大会でいきなり3時間を切ることができてびっくりしていたようだった。うれしかった。

8月くらいからトレランを始め、2ヶ月ほどのトレーニングを経て挑んだ初めてのトレラン大会だったけど、思っていた以上の順位で走れてうれしかった。走ってみて思ったのは、トレランはロードレースと結構似ているな、ということだった。数時間走り続ける、という時間も似ているし、登ったり下ったりしてメリハリがあったり、走りながら補給をしたりする感じも似ているしで、初めてなんだけど、なぜかよく知っているような感覚もあった。今回は、ちょうど3時間で力を出し切るような走りができた気がするけど、それも昔ロードレースをやっていたので、「25kmで力を出しきるペース」みたいな感覚が身体で持てていたのが大きかったかもしれない。いろいろとやっておいて無駄なことはないものだと思った。

花背トレイルランは出走者が200名ほどと、規模としてはこじんまりした大会かも知れないが、逆にそれがアットホームで一体感があり、スタッフの方々も皆さんとても明るく、素晴らしい大会だった。エイドステーションでは、僕のゼッケンを見て「近藤さん!がんばってー!」と名前を呼んでもらえ、驚くと同時にとても力になった。トレランデビューの最初に、こんな温かい大会に出られて良かったと思う。

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