読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

東山三十六峰マウンテンマラソン

f:id:jkondo:20151214125432j:plain

京都一周トレイルの中でも、自宅から一番近い東山区間を使って行われる東山三十六峰マウンテンマラソンに参加した。
この大会は、トレランが流行る前の20年以上前から行われていたという、結構歴史のある大会で、以前は鏑木さんなどが毎年参加し優勝していた、という過去もあるらしい。
夏頃に二宮さんが出場する、と話していたので、二人で9月頭のクリック合戦に参加し見事参加申し込み完了。
それから、普段走っているコースなので、何度も試走というか、トレイルに入れば自然に三十六峰の準備にもなる、という形でトレーニングしてきた。

そもそも大文字山は、僕がはじめて「トレラン」をしようと思って、山道を走ってみた場所だ。(それもまだ4ヶ月ほど前だけど)
しかし元をたどれば、大学のサイクリング部時代に「陸トレ」なるものがあり、その時に大文字の火床までよく駆け上がっていた。あの頃は体力が有り余っており、火床まで走って登れたどころか、確か9分台で駆け上がっていた記憶がある。その時から、なんとなく山の駆け上りは得意意識があり、いつも先頭近くで登っていたように思う。

最初に大文字を走って登ったのは、18歳の大学1年だろうから、それからすでに22年もの歳月が流れたことになる。
ということで、トレランを始めて4ヶ月と言いつつ、この「大文字を走る」ということにかけては、22年前からやっていた、という思い入れのある場所である。
ちょうど、僕の自転車での峠登りの原点が京見峠であるように、トレランの原点は大文字山だと言えるだろう。
奇しくも、京見峠の登りのベストタイムが9分台、大文字の火床までのベストタイムも9分台と、両方同じような長さの登りだ。
その両方を、先輩の背中を追いながら登ったのが、ヒルクライムとトレラン両方の、僕の原点なのだ。

そんな大文字山を舞台としたトレラン大会があるということで、そりゃ出ない訳にはいかない。家からの距離は、最も近いところで3kmほどしか離れていない。

10月に花背トレイルラン25km、11月にFairy Trail40kmを走り、12月の東山三十六峰30kmが3戦目。毎月1大会ずつ参加している計算だ。
Fairy Trailに向けては、長距離のコースを走りきれるよう、少し長めのトレイルを走っていったが、今回の東山は30kmと距離が短めであり、さらに高低差もそれほど大きくないためにスピードレースになりそうだった。実際去年のリザルトを見ていると、トップ選手のゴールタイムが2時間16分ほどで、3時間を切っても30位に入れないというほどペースが速い。30kmを3時間ということは、1km6分を切らなければならないということで、これはかなりハイペースの大会だということが分かった。

これまでは、基本的に登りは歩き、ゆるい上りと平坦、下りだけ走る、という形でトレランをしてきた。
しかし、東山でそれなりの順位に入ろうと思ったら、いよいよ登りも走るしかない、と考えた。
そういえば、昔は大文字山を走って登っていたことを思い出し、まずは大文字を走って登ってみることにした。

しかし、いざ大文字を走ってみると、途中で息が上がってしまい、とてもじゃないが走りきれなくなった。途中からはよたよたと歩いてなんとか火床までたどり着き、はあはあぜえぜえと、京都を見下ろす絶景を前に立ち尽くした。この登りを、学生時代にすごい速さで走って登っていたなんて、信じられなかった。それなりにトレランのトレーニングを積んできたにも関わらず、まるで想像できなかったのだ。

しかし、このまま引き下がるわけにはいかない。家に帰り、日が変わってみると、「昨日は少しペースが速すぎたのではないか。もう少しゆっくりいけば、なんとか走りきれるんじゃないか」という気持ちになり、翌日もまた挑戦した。

そんな挑戦を何度か繰り返すうちに、ようやく火床まで一度も歩かずに走り上がれるようになった。タイムは11分弱で、学生時代より1分半ほど遅いが、ひとまず走れるようになっただけでも大きな進歩だろう。

大文字山は火床が山頂ではなく、そこからさらに10分ほど登った場所に山頂がある。次はこの山頂まで、歩かずに走り上がってみよう、と目標を決め、また大文字通いを続けた。

そこからまた何度か通ううちに、ついに山頂まで走って登り切ることができた。できなかったことが、だんだん出来るようになる、という過程は、とても充実感がある。苦しいが、楽しい。

GPSのログをアップロードしてシェアできるStravaには、他のアスリートと共有できる区間がたくさんあり、この中に、大文字山の火床までと、山頂までの区間がある。

この区間には、昨年の東山三十六峰に参加した選手のログなども含まれており、上位選手がどれくらいのタイムでここを駆け抜けたかが分かる。最初、上位選手のタイムは雲の上のような存在で、僕は20位ほどのタイムだったが、毎日通ううちに、少なくともこの単一区間だけでは、上位3位に入れるようになった。(とは言っても、どうしてもトップには立てていないのだが。。)

もちろん、本番のレースでは、比叡山や他の山々もすべて通しで登るため、大文字だけを全力で登れば良い、というわけではない。だから本番のレースでこのようなペースで走るわけにはいかないが、少なくとも1つの山に限って言えば、トップレベルの選手の背中が見える程度の速さで登れるようになってきた、ということが嬉しかった。

大文字山頂まで走れるようになると、今度は他の区間もつなげてトライしてみよう、と考え、前半の比叡山大文字山をつなげて走ったり、後半の将軍塚から伏見稲荷まで走ったり、全部を通して走ったりして、それぞれの区間でどれくらいトップレベルの選手と差があるのかを確認していった。

いろいろ試してみると、登りの区間では頑張れば上位に食い込めるものの、下りで数分の差がつき、どちらかというと下りのほうが差が大きいことが分かってきた。

また、コース全部を走ってみると、後半足が疲れてきて走れなくなってしまった。それぞれの区間だけなら登りも走れたが、全コースを通して走れるだけの脚力がまだ足りていないことがわかった。

とまあ、家から近いことを良いことに、これくらいの準備をしていたあたりで、いよいよ本番の日がやってきた。
まだまだ課題はあるものの、Fairy Trailが終わって1ヶ月ほどの期間の中では、それなりに集中して準備してきたと言えるだろう。

大会で上位に食い込んだとしても、特になにがあるわけでもないのだけれど(笑)、なんとなく、やれるだけやって臨む方が楽しいし、今の時期はまだ、やればやるだけ速くなる、という時期なので、余計に楽しかったのかもしれない。

ただ、とてもストイックに、アスリートっぽくトレーニングをしてはいるものの、もう一つ大切にしたいことがあった。
それは、走ることを楽しもう、ということだ。山や、応援してくださる方との交流、大会全部を楽しんで終わりたい。
最初に参加した花背では、最初の大会だったこともあり、とても楽しかった。
ところが2回めのFairy Trailでは、頑張りすぎて後半体力がなくなり、レースを楽しむ余裕がなくなってしまった。順位はそこそこ良かったものの、なんだかこんなギリギリで走っていても、続かない気がしたのだ。
だから今回は、最後まで「楽しむ」気持ちを持ち続けようと思っていた。

それからもう一点、本番に向けて考えていたことは、「最後の稲荷山を走って登れるように走る」ということだった。
全コースを下見した時には、疲れてしまって最後の稲荷山は歩いて登ることになった。あまり最初から追い込みすぎると、恐らく最後は走ることができなくなる。
そうならないように、最後の登りでも走って登れるくらいには力や足を残して走る、ということをイメージして走ろうと思っていた。

ということで、さてさて本番。

宝ヶ池からスタートのワンウェイコースなので、地下鉄で国際会館までいく。
気温は暖かめなので、半袖に短パンという格好で、荷物はスマホ以外何も持たないことにした。
水分補給はエイド頼みという、登山スタイルとしてはあり得ない格好なのだが、上位選手のほとんどは、何も持たずに走っていることを花背の時に知り、コースのどこからでも、長くても30分もあれば町に降りられる今回のコースであれば、このスタイルも許されるだろう、ということで、割りきって何も持たない格好で挑んだ。
結果的には、エイドの水分補給で走り切ることができた。

今回は申込者が700人もいる、ということで、これまでに出た中でも過去最大人数。
トレイルに入ると渋滞するので、なるべく前の方でトレイルに入りたいし、ということで、かなり前の方に並んでスタートした。

スタート直後は宝ヶ池の周りを一周する平坦コース。ここは走力のある選手が引っ張る。とにかくペースが速い。
先頭グループは恐らく、1キロ3分台のペースだと思われ、とてもついていけないと思ってすぐに遅れ始めた。
どんどん追いぬかれていくが、「稲荷山を走って登れる状態を保つ」というイメージを考えれば、ここはこれ以上ペースを上げる訳にはいかない。自分の中で快適に思えるペースを維持した。
と、言いつつ、時計を見てみると1キロ4分半ほどのペースで走っており、十分ハイペースだった。だから、周りが早過ぎるのだ、と思うことにした。
この時点で、40から50位くらいにつけていたのではないかと思う。

白川通の歩道橋を渡り、舗装路を比叡山の入り口に向けて進むと、次第に傾斜が出てくる。平地で飛ばしていた選手も、登りが始まるとだんだんペースがゆるくなり、抜かれなくなった。
梅谷のトレイルに入ると林道が始まり、さらにトレイルに入っていく。
何度かトレーニングで走った時のように、小刻みなステップで、ゆっくりと、しかし歩かないように走って登って行くと、だんだん周りの選手が遅れていった。
そうか、全員が走って登るわけではないんだ、と思いつつ、さらに走り続けていくと、前の方に先行していたグループに追いついた。
先のことを考え、前に合わせて歩いたりしていたが、ここであることに気付いた。

実は登りは、歩くよりも走り続けるほうが楽なのではないか、ということだ。
走り続けるのは、確かに息が切れてしんどい。
しかし、一度歩いてしまうと、足が伸びた状態で筋肉に力がかかる時間が長くなる。そのために、再び走ろうとしても足が重く感じた。
走り続けていれば、タッタッタ、と足を運ぶことができ、足は短い時間しか着地しておらず、あまり曲げ伸ばしをせずに運ぶことができる。そのために、ふくらはぎなどに負荷がかかる時間が少なくなり、いつまでも軽い状態を保てるような気がした。
確かに心肺機能には負荷がかかり、心拍は上がり、息も上がるのだが、心肺機能は下りに入れば回復する。
しかし足の方は、一度筋肉に負荷がかかって疲れが出てしまうと、基本的にレースが終わるまでは回復しない。

一度、何かのトレランの本で、「登りは走り続けたほうが楽なんです」という記述を読んで、まさか、と思ったことがあったが、こういうことか、と思った。
そこで、なるべく足を止めないように、ゆっくりでも良いので走るように足踏みを続けて登っていった。

比叡山からの下りに入ると、しばらく林道の道が続き、そこからシングルトラックに入る。
林道区間では、またロードが得意な方々が追い越して行き、数名順位を下げた。
シングルトラックに入ると、それとはまた違う雰囲気の人が追い越していった。
いかにもトレランに慣れている、という感じの、全身をノースフェースのウェアで身を固めた選手が、ものすごい勢いで下って行くのだ。

後ろから追いつかれて、あまりのスピード差にびっくりしつつ道を譲り、とりあえずどうしたらそんなに速く下れるのか知りたい、と思い、頑張って後ろについていこうとした。
しばらく走るうちに、すぐにその選手の背中は見えなくなってしまったが、トレイルの下りが速い選手がどんな風に走っているのかが少し分かった気がした。

平坦区間や林道が速い選手は、いわゆる「ランニング」が速い、という感じだった。いわゆるマラソン的な走力があるタイプだ。僕も陸上部で走っていたので、なんとなくその身体の動かし方は分かる。

しかし、トレイルの下りが速い人は、「走る」というよりも、「落ちる」という感じだった。
重力に全く逆らわず、うおーんと落ちていく。落ちていきながら、こけないように足をさばいている、という感じだった。
コーナーでは、斜面を横向きに走ったりして、まさに忍者のようだった。
なるほど、こうやって下るのか、と妙に感心し、少しでも真似しようと心がけた。

普段のトレランでは、膝などを痛めるのが怖いので、あまり下りで無理をしないように、という意識もあって、そこまで攻め切れない。
しかし今日は本番。多少足を痛めたとしても、今日は仕方ない、と思えば、さらに気持ちのタガが外れる気がした。

追い越していった人をイメージして、僕も身体が下に落ちていくのになるべくブレーキをかけないように、足をいつもよりも前に踏み出し、勢いを殺さないように身体を前に前に運んでみた。
そうしてみると、これまでにない勢いを感じ、心地よかった。これまで身体を縛っていたものが、一枚剥がれていくような気持ちになった。
レースという状況と、自分よりも遥かに速い選手の姿を見たことで、なんとなく「ここまで」と決めていた殻を破り、新しい領域の走り方を体験している自分がいた。
そんな新しい感覚を感じながら、バプテスト病院までの下りを走り切った。
この区間のペースをあとから確認してみると、なんと1km4分半ほどで走っていた。4分半と言えば、平地のランニングでもかなりのハイペースである。Stravaの区間順位を見ても、下りで5位に入っており、これまで1桁には届かなかったのに、やっと下りでも上位が見えるようになっていた。
苦手だと感じていた下りでも、手がかりをつかめた気がする。

比叡山が終わると、大文字の登りである。この大会で一番高い山になる。
走り慣れたコースを登っていく。途中、段差がきつい箇所は歩いた。
さすがに今日はきつい。ここまでもそれなりのペースで上がってきているので、時折歩きを交えて、頂上についた。
大文字の登りは、コースの中でも特に傾斜がきつい登りだ。比較的緩やかな登りなら走れるが、これだけ負荷の高い状態が続くレースでは、やはり歩きが入ってしまった。
登りのタイムはベストには及ばないものの、大きく崩れることもなく山頂を通り過ぎた。
ここから日向大神宮まではまたトレイルの下り。走り慣れた道だ。
先ほどの下りのイメージを思い出し、ここもなるべくブレーキをかけないように走り落ちていく。
登りだけではベストに及ばなかったが、大文字の登りと下りをつなげた区間では、これまでのベストタイムで走り抜けることができた。

大文字は人気コースで、日曜日の今日は一般登山客も多い。
登山をしていたら前からトレイルランナーが数百人も走り降りてきたら、普通に考えて迷惑だと思うだろう。
実際、何度も何度も登山をされている方々とすれ違った。
しかし本当に驚くべきことなのだが、皆さんとてもあたたかく道を譲ってくださり、しかも「がんばってー!」っと温かい声援を送ってくれた。
本来登山道では、登りが優先で、下る人は道を譲らなければならない。
それなのに、そんな原則も無視して落っこちるように下ってくるランナーに、快く道を譲り、応援してくださるとは。。
京都の山を歩く方々の懐の深さに感動してしまった。
せめてその好意にきちんと応えようと、お会いした方には全員挨拶をした。
「こんにちは!」「ありがとうございます!」と、毎回すれ違うたびに声を返していった。
それから、「最後まで楽しむ」ことを決めていたら、自ずと、スタッフの方にも挨拶することになった。
みなさんボランティアで、わざわざ日曜日に山の中に立って僕達をサポートしてくれている。
せめて挨拶くらいは、と「ありがとうございます!」と声を返すようにした。

挨拶をすると、多少体力を使うかもしれないが、やってみて思ったのは、絶対にその方が得をするということだ。
きちんとお礼をすると、相手に心が伝わる。そうすると、相手が喜んでくれるのがわかるし、もう一度「頑張って!」と心をこめて声援を頂ける場合もある。つまり、何も返さずに通り過ぎるよりもたくさんの応援、力をもらえることになる。これは力になる。
そして何よりも、大会とよりつながることができる。出会った多くの人と、たとえ一瞬でも、心のつながりを持つことができる。それが、「大会を楽しむ」ことにつながると感じた。

大文字の途中には、なんとトレイルの真ん中に私設エイドでコーラを振る舞ってくれている方もいた。
登山道の途中にテーブルを広げ、そこにコップを並べてボランティアでコーラを振る舞ってくれているのだ。
飲料を何も持ち合わせていない僕は、こういう時こそ補給タイミングだ、と、一度立ち止まってコーラを一杯頂いた。
僕より前の選手は、立ち止まる人が少なかったのか、一杯ください、と言うと、なぜかまた喜んでもらえた。
これも多少のタイムロスかも知れないが、荷物を持たずに軽量化して走っている分で速くなっている分に比べれば、10秒ほど立ち止まって皆さんに力とコーラを頂けるなんて、どう考えてもロスのほうが少ないと思われる。
ということで、今日はもう、積極的に甘えられるだけ甘える、という姿勢で走ることにした。

日向大神宮のエイドを過ぎ、ここからは将軍塚までのロードの登り区間が始まる。
ここは本来、青蓮院の裏から登るトレイルがあるのだが、恐らく道路を横切るコースを取れないため、舗装路を登っているのだろう。
舗装路の登りは辛い。路面が良いので、走ることはできる。しかし、登りは登り。きついものはきつい。
あげようと思えばどれだけでもペースを上げられそうな路面なため、自然にペースは上がりそうになるのだが、あまり上げ過ぎると負荷がかかる。単調に登るので、休んだり、フォームが変化することもなく、上り終わるとなぜかトレイルよりもずっと身体にこたえる。
この登りは、あまりペースを上げ過ぎないよう、前の選手にくっついて背中だけを見て走った。

将軍塚にはまた、巨大な私設エイドがあった。沢山の人が応援していて、きっと後ろのボリュームゾーンの選手が来たら、お祭りみたいになるんだ、と思いつつ、コーラを一杯頂いて通り過ぎた。

音羽山を越え、1号線をくぐり、短いトレイルを越えて舗装路を行くと最後のエイドになり、そこからいよいよ稲荷山だ。

最後の稲荷山を走って登れるように、と心がけてペースを維持して走ってきた。
将軍塚の登りで少し疲れ、「稲荷山を走るのは少し難しいかも」という気持ちが一瞬頭をかすめたが、またしばらくして少し回復してきた。

そして何よりも、これを登ればあとはもう終わりである。出しきって終わろう。
稲荷山に向かう林道に入り、そこからトレイルに入っても、僕は走り続けた。
舗装区間で抜かれ、前にいた選手が歩き始めた。
僕は走る!と思い、となりを走って抜かした。
本当は僕も、かなり疲れが溜まってきており、歩きたかった。
前の選手も歩いているんだから、歩いたって良いんじゃないか、という気持ちが頭をかすめた。
でも、ここを登ればもう終わりだ。ここを走って登ることをずっとイメージしてきたのだ。
もしも走って登り切れたら、きっと良い形で完走出来た、とあとから思い返せるに違いない。
そう思って、足を止めず、走り続けた。
前を行っていた選手は、すぐに離れていった。
さらに走り続ける。コンクリートの杭に沿って走り、竹林を抜けていく。
息がしんどい。でもなんとか持ちそうだ。
分岐を右に曲がり、いよいよ登りも終わりに近くなったところで、さらに3人ほどの選手が見えてきた。
みんな歩いている。登りでかなり差を詰めたらしい。
そのうちの1人をかわした。そして頂上についた。

やった!走って登れた!
すごく嬉しかった。数週間前には、最後まで走る足は残っていなかったのに、今日は最後の山でも、自分を誇れるような登り方ができた。
あとは下るだけ。
急な下りを、また落ちるイメージで下り、竹林の中のゆるい下りを駆けていく。先ほど登りでかわした選手がすぐ後ろに迫っているのではないか、と考え、最後は全部の力を出し切る気持ちで走り続けた。あとから見ると、最後のこの区間は、1km3分台のペースが出ていた。
そして伏見稲荷の鳥居が並ぶ参道の横のFINISHラインにゴール。

結果は2時間46分。総合順位で25位、年代別36−45歳で12位だった。

実際の距離は、30kmに満たず、28kmちょっとではないかと思うが、とにかく3時間を大幅に切ることができた。
そして事前に、35−40位くらいに入れたら、と思っていた順位も、25位と大幅に上位に入れた。

何よりも嬉しかったのは、最後まで力尽きず、イメージしていたとおりに登りを走り切れたことと、山や沿道の方との交流を、最後まで楽しめたことだった。こういう感じなら、またやってみたい、と思えた。

一緒に出ていた二宮さんも、4時間を切ってゴール。
一時は膝を痛めて出場も危ぶまれたのに、しっかり完走していた。一緒に昼ごはんを食べに入って乾杯し、それぞれの帰路についた。

今年はこれでトレラン大会は最後になる。
次は来シーズン、ということになる。
来年は、今年よりもさらに距離を伸ばし、より長く、より厳しい大会にも挑んでみたいと思っている。
そのために、シーズンオフはゆっくり長い距離を走りこんで、より長い道のり、より険しい道のりを走り続けられるよう、下地を作っていきたいと思う。
より長い距離を行ける身体を手にしたら、レースだけでなく、昔から憧れていた山々の大縦走にも挑んでみたい。

f:id:jkondo:20151214125420j:plain