希望が丘トレイルランニングレース

滋賀県の希望が丘で開催された、希望が丘トレイルランニングレースに参加してきました。
希望が丘といえば、毎年シクロクロスも開催されていて、何度かシクロクロスの方に出たことがあります。だだっぴろい芝生の公園があって、近江盆地の中に突如現れる森林地帯、というイメージですが、それほど高い山はない印象です。今回のコースも21kmと比較的短めの設定ですし、前半の近江富士(三上山)を除けば、なだらかなクロスカントリーみたいなコースなのかな、と思っていました。

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が、会場に着いてからいろいろな方とお話している間に、どうやらそう生易しいものではないらしい、ということが分かってきました。確かに高い山はないけど、後半もずっと細かいアップダウンが続く、とのこと。やっぱりそんな簡単には終わらせてもらえないようです。

3月にシンスプリントの痛みを悪化させてから、4,5月にエントリーしていたレースを3つもキャンセルして、療養にあててきました。5月28日の比叡山に間に合うように、という目標で、フォームを見なおしたり、靴をあれこれ試したり、整体に通ったりしているうちに、ようやく最近長距離を走れるようになってきました。希望が丘は比叡山の一週間前ですし、出場は回復が間に合えば、と思っていましたが、ここに来てかなり痛みも引いてきたので、「あまり無理はしない」という前提で、出走することにしました。せっかく知り合いの西さんに誘ってもらってエントリーしたレースですし。

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ということでスタート。最前列からスタートしたものの、最初の林道区間でどんどん追い越されていきます。皆さん速い速い。

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小さい周回を回ってスタート地点に一度戻ってくる頃には、15番目くらいの位置に。それでも、ちょっと息が上がりかけていました。ここから近江富士に向かいます。

近江富士というのは、もう、滋賀県の南の方にいたらどこからでも見える山です。新幹線に乗っていても、名神高速を走っていても、どこからでもすぐにそれと分かる山容。国道8号線なんかを走っていると、どどーん、と目の前に現れる存在感もすごく、一度登ってみたいな、と思いながら、これまで登る機会がありませんでした。ということで、「やっと近江富士に登れる!」というのが今回の大会の一つの楽しみでした。

希望が丘公園から橋を渡ったらすぐに近江富士に取り付くのかとおもいきや、案外登山口までは長くて、途中で少し小さい岩がちなピークを超えたり、近江富士の山裾をしばらく走ったりして、ようやく表登山道に入りました。ここから一気に山頂まで登ります。

まあ、遠くから山の形を見ているだけでも、結構斜面は急に見えますし、しかも上に行くに従って傾斜がきつくなりそうな形をしているので、だいたい予想はしていましたが、この登山道はなかなかのものでした。標高は432mしかないので、山としては低山なのですが、登って行くと本当にどんどん急になってきて、しかも岩場が出てきます。途中からは急な岩場を手足を使ってよじ登るような感じになってきて、登山の中でもかなり急な道に。

山頂の手前からは野洲や琵琶湖の絶景が見渡せました。角度が急な分、高度感があります。「うわー、すごい景色!」と叫んでいると、道を譲ってくれた登山客の方から、「そんなこと言ってる場合じゃないんですよね」と指摘されて、「そうでしたそうでした」と我に返って前に進みます。

道が急になってくると、なんだかこちらもやる気になってきて、ついつい真剣に登ってしまいます。「ずっと登りたかった近江富士を、しっかりと登り切りたい」、という気持ちも重なってついつい頑張ってしまい、登りで何人か前の人を追い越しながら山頂に着きました。

山頂手前で、スタッフの方がロープをたぐり寄せるようなジェスチャーで応援をしてくれていて、思わず引っ張られて登ってしまうような気持ちになりました。ここに限らず、スタッフの方は皆さんとても暖かくて、めちゃくちゃ力になりました。

そして山頂に登頂。すかさず下り始めますが、この下りもまた急坂。登りの岩場よりは多少ましですが、根っこや岩がある急坂を下っていきます。もう、登りの急登でなんだかスイッチが入ってしまって、この下りもすごい勢いで駆け下りました。かなりの急坂なんですが、だんだんまっすぐのラインを大股で走り抜けるイメージが見えるようになってきて、その通りに走っている間にここでも数人を追い越させてもらい、結局近江富士を登って下っている間に10人近く順位を上げたようです。

急な下り坂が終わると、再び近江富士の山裾を半周くらい回る道に入りますが、この道に入ったところでふと我に返り、自分がすっごく追い込んで走っていたことに気づきました。山って怖いです。ついつい真剣になってしまいます。

心拍も結構上がっていて、ちょっとしんどく、前の人についていくのがやっと。しばらく平坦基調の道を走って、一旦スタート地点のエイドステーションに戻ります。

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近江富士で追い込んだせいで、エイドに戻ってきた時にはもう心拍が上がってしまっていて、「ここでゴールさせてくださいー」という気持ちに。ここがゴールだったら良いのにな〜、と思いながら手を上げてエイドに飛び込んでみましたが、誰もゴールテープは出してくれませんでした。(あたりまえですね)

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エイドでコーラやきゅうりを頂いていると(このコーラが冷えていて最高に美味しかった!)、「今5位です」と言われてびっくり。10から15番くらいかな、と思っていたのが、いつの間にか結構前に来ていたようで、このまま行けばもしかして表彰圏内!?と分かり、再びやる気に。ここから後半のトレイルに入ります。

後半のトレイルは、事前に聞いていたように、確かにずっと細かいアップダウンが続く道でした。しかも、これといった特徴があまりなく、ずっと同じ道を繰り返し進んでいるような、まあ悪く言うと「単調」、良く言えば「自分と向き合える道」という感じでしょうか。平坦な部分はほとんどなく、少し登っては、少し下り、の延々と繰り返し。調子の良い時なら、これくらいの登りなら走って登れるかもなあ、と思いながら、すぐに息が上がるのでそこまでは追い込めず。登り区間は歩き、下りは走り、を繰り返して進みました。

「今日は無理をせずに走る、と決めていたんだから、ゆっくりで良いじゃないか」と思って少しペースを緩めるんですが、そうすると少し心拍が落ち着いてきたあたりで、後ろから来ている選手の姿が見えてきて、「やっぱり追いつかれたくはない」と思ってまたペースを上げて、そうするとまたしんどくなって、「無理せずに行こう」と思い直してペースを緩め・・・ということを20回くらいリピートしていた気がします。ああ、他人のことなんて気にせずに、自分を保てるようになりたいものです。

後半のコースのイメージは、北の稜線を5km東に進み、南の稜線を5km西に進んで戻ってきて終わり、というイメージで、5kmといったらそれほど長くはないだろう、と思っていたのですが、この区間が思ったよりずっと長く感じました。「もうそろそろ折り返しが近いんじゃないかな?」と思ってから、倍くらい長かった感じです。

それでもようやく鏡山に到着。鏡山の近くから振り返ると、最初に登った近江富士が見えますが、これがまた随分遠くに見えて、「こんなに遠くまで走ってきたのか!」とちょっと驚きました。しかしまあ、よくもこんな場所に、これほど広い山域が広がっているものです。少し東に行けば、また湖南市の町が現れるわけで、昔山だった部分が、この辺りだけは侵食されずに残ったんだろうな、冬場もそれほど雪は降らないだろうし、冬場のトレーニングなんかにも良いかもな、などと一瞬感慨にふけりますが、すぐまた走りに戻ります。

鏡山を越えると道は下り基調になり(と言っても、やっぱりアップダウンを繰り返すので、あまり道の印象は変わりません)、2つ目のエイドに向かいます。が、ここで痛恨のコースミス。ちゃんと黄色いコーステープがいたるところに貼ってあったにも関わらず、ちょっと足元に集中しすぎていたみたいで、ふと気づくと目の前にトレイルがなくなり、じめじめした川の横に立っていました。「あれ?」と思いながら少し引き返したり、また戻ったりしていましたが、やっぱり間違っているようなので、本格的に引き返すと、ちょっと手前に分岐が現れ、そこを曲がり損ねたことが分かりました。恐らく数分だったと思いますが、ここでさっきからずっと気配を感じていた後ろの方お二人くらいが先に行ってしまい、7位になりました。
「ああーーー、もうー」。もう「あー」と言うしかないですね、こういうの。でも、自分が悪いので誰のせいにもできません。

表彰圏内から外れてしまって残念でしたが、あまり順位のことを気にしなくて良くなって、それはそれで良かったかも、と思って気を取り直して再び走り始めます。コースミスのことは考えないことにしました。

2つ目のエイドに到着するとまたも冷えたコーラが。素晴らしすぎます。今回は距離も短かったので、携帯コップだけを持って走るという超軽量作戦に出たため、エイドでしっかり水分補給をして、その水分だけで走るという作戦でした。そのため、いつもより少し多めに水分補給。ぐびぐびぐび、とコップ3杯分くらいの飲み物を一気に飲み、水を頭からぶっかけて最後の区間へ。ちなみにこの時、水をかぶって靴まで濡らしてしまったために、その後靴がぷちゃぷちゃ言って少し重くなり、おまけに水ぶくれまで出来てしまったので、水をかぶるにしても足は濡らさないようにした方が良いなと学びました。それから、水分を一気に取ると、おなかがちゃぷちゃぷして、しばらくつらいのですが、これは10分くらい我慢していると、ちゃんと体内に吸収されていって、なんとかなることが分かり、まあ距離によっては「飲み溜め」作戦もありかな、と思いました。

最後の区間は南側の稜線を西向きに戻ります。この区間も北稜線とだいたい同じような感じでアップダウン。またしても後ろに選手の気配を感じながら、少しゆるめたり少し速めたり、を繰り返して進んでいくと、ゴールのある希望が丘公園が見えてきました。下って行くと下に舗装路が見えてきて、やった、これで山は終わりかな?と思ったら、誘導のスタッフの方が、「こちらのトレイルでーす」と明るく誘導してくれました。まだトレイルあったんですか。思わず、「あと何キロですか?」と聞き返すも、「分かりません!」とのお答え。「でも、この山が最後ですよ!」と言ってもらい、最後の山に入りました。一度「これで終わりかな?」と思ってペースを上げてしまったので、ちょっと疲れてしまい、だんだんよろよろしながら最後の山を登ります。この頃になると気温も上がってきて(この日は本当に暑くて、30度を超えていました)、山頂付近は日陰もなく、そこに来ていよいよ疲れも出てきて、最後は少し「早く終わってくれー」という気持ちに。本当は「終わるのが寂しいな」くらいの気持ちを保ち続けてゴールしたかったんですけどね。。。

なんとか最後の山に登るとスタッフの方が立っていて、思わず「もう登りは終わりですか?」と聞いてしまいました。「はい、もう登りはありませんよ」と言われた時のなんと嬉しかったことか。そこからだーっと下って、ようやく公園に出ました。すると!目の前に一人前を行っていた選手が見えるではありませんか。あ、もしかしてこの人をかわせたら、表彰なのかも?と思い、ダッシュ開始。舗装路でダッシュしたら、この日はじめて足をつりました。それでも我慢して前の選手を交わすと、特に何も抵抗がなく(オトナですね・・・)、そのまま順位を一つ上げて6位でゴール。ほとんど諦めていましたが、最後の最後で表彰圏内に入ってゴールできました。(トレイルが終わってからの舗装区間でダッシュする、というオトナ気ない方法で・・・)

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あー、出しきった〜。

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カメラマンをしていた西さんから、「今日3本の指に入るくらい、出しきった感が出てましたよ」と言われる始末。一体どこが「無理をしない走り」なんでしょうか。しかも西さんからは、「近藤さんは走り始めたら追い込むと思ってました」と言われ、そこまで読まれてました。やれやれ。自分のことは自分が一番分かっているつもりでいても、他人の方がよっぽどよく分かっているものですね。

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まあでもとにかく、表彰して頂けたんです。Mount Chopの時に、打ち上げで表彰してもらったことがありますが、こんなお昼間の表彰式で表彰してもらうのははじめてです。やっぱりうれしかった。がんばって良かった。

心配していた足の痛みも、それほど悪化していません。これなら比叡山も走れそうです。

なんだかんだとごちゃごちゃ考えながら出場した希望が丘でしたが、なんだかんだと言いながらたっぷり山を楽しんで、たっぷり力を出し切って、楽しく過ごさせてもらいました。一体感があって素晴らしい大会でした。行って良かったです。