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比叡山 International Trail Run 走ってきました

比叡山で行われた、比叡山 International Trail Run を走ってきました。
距離は50km、何度も比叡山に上っては下る、なかなかハードなコースです。

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後輩の尾崎くんと同僚の二宮さんと一緒に車に乗って会場入り。スタート直後に渋滞がある、ということで、少し早めにスタート地点に並びました。
二宮さんは、去年の最終完走者で、制限時間の30秒前にゴールしたレースレポートが、Run+Trailの記事にもなりました。僕はそのブログを読んで、同じ会社にこんなに頑張っている人がいるのだから、僕も走らなくちゃ、と思ったのが、走り始めた一つのきっかけでした。ということで、比叡山に出て完走することは、去年トレランを始めてからの一つの目標でした。

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スタート後はレースプロデューサーの鏑木さんが一番前を先導して境内を移動し、そこからトレイルがスタート。幸いほとんど渋滞には巻き込まれず、トレイルに入れました。
50kmをレースで走るのは初めてなので、序盤はなるべく抑えて、後半に追い上げよう、と思っていました。思っていましたが・・・
これはスタート後約2kmの、スキー場跡地点の写真(撮影は藤澤さん)。これだけ見ても分かりませんが、前後に撮影された写真を見ていたら、ほとんど先頭集団、前から12人目くらいで走ってました。どう考えてもこれは「抑えている」とは言いません。。
その後京都一周トレイルを下り、比叡アルプスに登り返すまでだいたい同じポジションで走り続けました。
一応意識の中では、少し抑えているつもりで、実際先週の希望が丘の時よりは追い込んでいなかったのですが、やっぱり20kmのレースと比べてはだめですね。

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比叡アルプスに向かう登り返し地点(撮影は最勝寺さん)。表情はまだ余裕がありそうに見えますが、すでにこの辺りで足に疲労を感じはじめていました。
比叡アルプスの上りはずっと歩きで。Mount Chopの時は、半分走って登れたのですが、今日は走れませんでした。抑えよう、と思っていたこともありますが、そもそもなんだか3月に比べると足が動かなかったです。

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約10kmの第1エイド。比叡アルプスの途中で尾崎に追い越されましたが、ついていけませんでした。この頃はまだ、後半にまた追い上げて、再び尾崎に会えると良いな、と思っていました。

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一度坂本まで下り、そこから登り返して第2エイドの延暦寺へ。ここまで20kmほど走って、一度ゴール地点に戻ってきます。
ここからが8の字の上の部分、後半30kmのコースに入っていきます。
この時も疲労感は感じていたものの、まだ元気がありました。エイドもほとんど滞在せずにそのまま後半ループへ。まだ、「後半もっと上げていくぞ」と思っていました。

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今度は大原方面に下り、そこからこの大会一番の苦しい上りであるせりあい地蔵・横高山の上りに入ります。
せりあい地蔵の入り口に向かう下りで、段々と足の疲労感が隠せなくなってきました。徐々に踏ん張れなくなり、下りでもペースが上げられず、特にトレイルの下りで少し足をかばうようにしか走れなくなってきました。この区間で何人も下りで抜かれてしまいました。

それでも、横高山の上りは気を取り直して頑張りました。
横高山の上りが一番苦しい、という噂を聞いていたので、試走の時にこの区間をがんばって上り、Stravaのコースレコードを記録できていたこともあって、ここはちゃんと登りたい、という気持ちがありました。
それから、登り切ったところで待っているのは、せりあい地蔵の私設エイド。知り合いの方がたくさんいて、コース中でも最も充実した応援スポットです。まずはそこまで、ちゃんとした走り(歩き)でたどり着こう、と思って進みました。
この区間は苦しかったけど、ちゃんとリズムを崩さずに登って行くと、数名パスすることができました。

せりあい地蔵が近づくと、上から応援の声が聞こえてきて、たどり着いてみると、道を挟むように応援の皆さんが囲んでくれていて、いやがおうでも力が出ました。それまで歩きっぱなしだったのに、足が軽くなって最後だけ走れたことに自分でもびっくりしてしまいました。

せりあい地蔵で補給を取り、ここではじめてストレッチをして、そこから横高山の急登に入りました。
横高山を越え、次の水井山を越えて、この辺りからがつらかった。
だいたいここまでで28km。これが30kmレースなら、まずまずの走りで、タイムもそこそこで完走できたでしょう。
しかし今日はここからまだ20km。50kmレースにしては、やはり序盤に飛ばしすぎたようでした。

足が、思うように動かなくなってしまいました。
どこか特定の箇所が痛い、というわけでもない。いや、シンスプリントの軽い痛みや、右膝も少し痛みを感じていましたが、それぞれが原因というよりも、足全体が疲れてしまって、思うように動きません。
歩いていても、足が全体的に痛く、一度ゆっくり止まって休みたい、という感覚がずっとありました。

まあ考えてみれば、3月くらいに足を痛めて、それからの療養期間中には、長距離のトレーニングは全くできていませんでした。
最後に30kmほどのトレイルを、ゆっくり2,3回走りましたが、それが全て。
20kmレースなら足はもちましたが、50kmをきちんとしたレースペースで走りきれるだけの足ができていなかった、ということに尽きるのでしょう。
そもそも50kmのレース自体が初めてなのに、それに加えて練習が十分にできていなかったわけで、それなのに序盤に10位台で走るなんて、まあ今から考えたらどうしてそれで行けると思ったのか、という感じですが、気持ちというのは不思議です。
比叡山に向けてケガの療養に励んでいるうちは、「比叡山までに足が治ってくれて、出走できたら御の字だ」くらいに思っていたのに。
それがなんとか間に合いそうだ、という見込みが出てきて、少しずつ練習の距離を伸ばしてくると、「これは完走は行けるんじゃないか」くらいに思いはじめ。
希望が丘でゆっくり走るつもりが、蓋を開けたらがんばって走って6位入賞したあたりから、「実は結構速く走れるんじゃないか」くらいに気持ちが変わっていったんだと思います。
まあ、プラス思考なのは良いのですが、自分のことを、自分の実力以上のものだと思うのは、勘違いですね。ちょっと調子に乗りやすいんだろうと思います。

ということでとにかく、もうまともに攻めた走りができなくなってきました。
特に辛かったのがトレイルの下り。足の踏ん張りがきかず、全然攻められません。
ああ、自分は勘違いしてたんだなあ、とか、あれこれ考えながら、とにかく止まることだけはせずに進みました。
上りは全部歩き。ゆるい上りも歩き。下りは足をかばってゆっくり。上りも下りも平坦も、どのパートでも人に抜かれていきました。
ここからはずっと、人に抜かれる展開に。
これも気持ち的にちょっと悲しい感じになりかけましたが、あまり人のことは気にしないことにしよう、と思いました。
というか、むしろ他の人は満足できる走りができるように応援しよう、と思い始めて、がんばって!と声をかけ始めたら、抜く方も「がんばりましょう」とか言ってくれて、それでなんだか元気が出ました。
今日序盤飛ばしたことも、考えないことにしました。
というか、あれだけの選手がそろった大会で、数キロも先頭集団についていけただけでも随分楽しかったし、良い経験をさせてもらったわけです。それはそれで最高の思い出になるな、と思い始めました。

それでだんだんと、なんだか後ろ向きなことは考えないことにして、周りの選手の応援と、山のことを考えました。
山は気持ちいい。とにかく、山は、そこにあるだけです。僕が速く走ろうと、ゆっくり歩こうと、まるでお構いなし。ただ、木が生えていて、緑が生い茂り、道が続いている。風が吹いている。小雨が降っている。動物がいる。ただそれだけ。
ほんと、僕がどういうペースで走っているかなんて、どうでも良い感じなのがすごいです。
山をしっかり味わおう、と、木の葉の緑や、トレイルの美しさを感じていたら、だんだんほんと、勘違いが晴れていく気になりました。ああよかった。

それに加えて、たくさんの人が応援してくれます。エイドの方もそうですけど、コースの途中で立っている人もすごい。
なぜかって、一人で、山の中で、ずっと何時間も、選手を案内しながら立ってくれているんです。それだけでも大変なのに、「がんばってください」と心をこめて言ってくれる。ああ、ボランティアでどうしてここまでしてもらえるんだろう、と、なんだかもうすごくありがたい気持ちになってきて。
それで、そういう人の気持ちに答えるために2つは守ろう、と思い始めました。
1つ目は、必ず返事すること。とにかく、「ありがとうございます」と、気持ちを受け取ったことだけは伝えよう、と。
それから2つ目は、まじめに走り続けること。自分が応援を受ける資格があるとすれば、自分なりにまじめに走り続けることからしか生まれないと思った。だからまじめに走ろう、と。腐ったり投げたりした人のことなんて、応援したくないはず。せめてまじめに走ろう。

なかなか思うように走れなくなった仰木峠あたりから、10kmほどずっと、遠くから太鼓の音が聞こえていました。
どこかで応援してくれているのかな、と思うのですが、なかなか太鼓が姿を表しません。
Run Walk Styleのおらお店長が冷えたコーラを出してくれていた(最高に美味しかったです)滝寺のエイドを過ぎても、
地元の方々が美味しい素麺としそジュース(これも最高でした)を出してくれていた仰木峠下のエイドを過ぎても、
どこにも太鼓は見えず。一体どこで鳴っているのだろう、と仰木の里に下って行くと、登り返すポイントで太鼓隊が待っていました。
叩いてくれていたのは地元の子どもたち。みんなでハッピを着て、一生懸命太鼓を叩いてくれていました。
ずっと前から、もう1時間以上前から、太鼓が鳴っていたのを知っています。
その間ずっと、この子たちは応援のために太鼓を叩いてくれたんだ、と思ったら、なんだかもう、胸が熱くなって、涙が滲んできました。
周りにいた仰木の地元の方も、「がんばってね」と心をこめて応援してくださり、なんて温かいんだと。
あまりにつらい展開になったことで、これまでにないくらい応援が身に沁みました。
なんてありがたいんだ。

とにかくまじめに最後まで行こう。それしか僕にできることはないです。
横川への登り返しで、丸山さんや杉浦さんが追い越して行きました。それぞれがんばりましょう。

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横川の最終エイドに着くと、藤澤さんがスタッフをしてくれていて、コーラをくれて写真を撮ってくれました。
文香さんはこの日4回目のサポートをしてくれました。先回りして4回も!
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補給を取って、ストレッチをして、最後の区間に入ります。
足が痛くなければ快走できるであろうゆるい下りの林道も、なかなか思うようにスピードを出せません。この区間でもたくさん抜かれました。
そして最後の上り。2kmで300mほど上ります。
入り口で最後のストレッチをして、よし、と気合を入れて上りに入りました。

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なぜか、足が急に軽くなりました。最後だからなのか、ゴールでみんなが待ってくれているからなのか、よく分からないけど、軽い、足が動く。
少しペースを上げてみても、行けそう。よし、最後のこの区間だけでも、次につながる上りをしよう、と、出しきることを目標にペースを上げました。
リズムを落とすことなく上りを詰めていくと、上の方からだんだんと人が見え始め、さきほど林道でかわされた人たちを、逆にかわすことができました。随分ゆっくりと進んでいるうちに、体力が回復したのかもしれません。上りはそれほど足の痛みが気にならないので、その体力で登れたのかな。

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最後に少しだけ自分らしい走りができてゴール。時間は7時間37分でした。(撮影は森田さん)
序盤に追い越していった尾崎は6時間37分。なんと1時間も差がついていました。
先頭の大瀬さんと大杉さんはさらにそこから1時間以上速い5時間半。女子トップの吉住さんはなんと男女合わせても5位の5時間44分。ものすごいです。
西さんも二宮さんも去年から記録をのばして完走。
すごい。みんなすごい。

走る前は、もっとすごいタイムで、とか、すごい順位で、とか妄想というか、勘違いというか、頭のなかに溜め込んでいたんですが、まあ、それを山に祓ってもらったんだな、心がきれいになってよかったよかった、と、なんだか清々しい気持ちになりました。ああ、よかったよかった。さすが延暦寺のある比叡山です。

自分のこと、少し分かれたし、人のことを感じられたし、山のことも感じられた。長くてつらいと、こんなに味わえるんだ。たっぷり味わったなあ、ごちそうさま。

夜は丸山さん主催の打ち上げパーティー。トレラン大会のあとに、打ち上げがあるなんて最高です。みんながんばった人たちばかり。走った人も応援した人も。お互いをたたえ合いながら、ビール飲みました。めちゃくちゃ楽しかった。

なんと素晴らしい人たちが集まっているんだろう。
山が心を祓ってくれているのかな。
ありがとう。ありがとう。

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