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夜叉神峠から鳳凰三山を往復してきました

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東京に行った帰りに、南アルプスへ。夜叉神峠から鳳凰三山を往復してきました。
6月に入り、本屋で山系の雑誌を見ていると、「いざ、夏山へ行こう!」という感じで、日本アルプスの写真がこれでもかと並び始めます。
そんな雑誌を眺めていると、いてもたってもいられなくなります。(分かりやすい)

ちょうど東京に行く用事があったので、帰りにどこかに寄ることにしました。
八ヶ岳は冬に行ったし、北アルプス中央アルプスも去年行ったし、南アかな、と。

少し膝に不安があるので、あまり激しいアップダウンが無いところ、ということで、なだらかで歩きやすそうな鳳凰三山に行くことにしました。
鳳凰三山は、薬師岳観音岳地蔵岳という標高2800mほどの3つのピークからなる百名山。それなりに標高はありますが、夜叉神峠からのルートは走りやすいらしく、トレランの本でもよく記事を見かけます。
特徴的な形をした地蔵岳山頂のオベリスクは、北岳仙丈ヶ岳に登った時にも見えていましたし、中央高速道を走っている時にもそれらしき姿が見えるので、いつか行きたいと思っていました。

前日に甲府入りして、朝レンタカーを借りて夜叉神峠へ。レンタカーの営業が8時からだったので、行動開始は9時になりました。
天気予報は曇りで午後から雨。西日本ではすでに大雨が降っている、というニュースも流れていたので、なるべく早めに戻って来たいところ。
ただ、膝が本調子ではないので、あまり過激な走り方はせず、写真を撮りながらマイペースで進むことにしました。

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夜叉神峠の駐車場から登山道に入ると、いきなり鮮やかな緑の森が出迎えてくれました。
違う、やっぱり空気が違う。
久しぶりの感じにわくわくしてきます。

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駐車場から夜叉神峠まで、とても良く整備された、なだらかな上り道で稜線まで上がります。
普段なら走って登る時もあるような傾斜ですが、今日は時折写真を撮りながら、ストックを突きながら歩きます。
夜叉神峠までは標高差400mほどあるはずなのですが、淡々と登っていると30分ほどで峠に。「そんなに登ったかな?」という感覚でした。
この日は結局最後までそんな感じ。「そんなに登ったかな?」と思っているうちに、いつの間にか標高2800mまでたどり着いてしまうようなルートでした。
正直、比叡山の方がきつく感じました(笑)。

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稜線に出てからもなだらかな上りが続きます。
少し膝が心配ですが、上りなのでまだなんとかなります。
あまり痛みが出るようなら、いさぎよく引き返そう、と思いながら進みました。
せっかくここまで来たので、2時間くらいは森の中にいたい。
でも、足を痛めてまで無理はしないように、と。

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稜線を歩いていると、中年の夫婦に追いつきました。
鳳凰山というところに行きたいのですが、この道で合ってますか?」と質問されます。
「はい、合ってますよ」と答えるものの、よく見ると割りと普段着っぽい格好をしていて、あまり登山にも慣れていないようだったので、実際に鳳凰山まで往復するのは厳しいだろうなあ、という感じでした。
「午後から雨も降ってくるようなので、早めに戻った方が降られずにすみますよ」と話すと、「じゃあどこかで引き返しましょうか」なんて話し始めて、少し安心しました。
その後一度も会わなかったので、どこかで引き返したんだと思います。

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最近トレイルランの大会に出ることが多くなってきたからか、あまり「休憩する」ということを考えなくなってきてしまっています。
良いのか悪いのか分かりませんが、たまに立ち止まって写真を撮るくらいで、あとは黙々と進み続けます。
こんなにゆっくり進んでいるんだし、トレラン大会に比べたら全然楽、というような具合で、もはや基準が大会になってきてしまっています。

膝の調子は相変わらずで、「ちょっと痛みは感じるけど、歩けないほどではない」という具合。
まだ上りなので良いけど、下り始めると痛みが増すかもしれません。
ひとまず1時間歩いてみよう、あと1時間歩いてみよう、と1時間ずつ区切って考えながら進みました。

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杖立峠から苺平に向かうあたりで、ちょうど朝上の山小屋を出発したのであろう登山パーティーと何組かすれ違います。
皆さん、「随分ガスってきましたねえ」と天気が下り坂であることを話していきます。
皆さんはもう降りるだけですが、僕はこれから登ろうとしていて、「ほんとうですねえ、あはは」と笑うしかない感じです。

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まずは2時間、と思って歩いているうちに、南御室小屋まで着いてしまいました。
ガスが出たり消えたり、を繰り返していましたが、ここで小雨が降り始めます。
ただ、ここまで来てしまうと薬師岳はもうすぐ。
せっかく来たので、薬師岳までは行ってしまおう、と前に進むことにしました。
あまり止まっていると身体が冷えるので、おにぎりを一つ頬張って、水をくみたしたらすぐに出発。
少し進むと、ようやく視界がひらけて薬師岳が前に見えました。
おおー、見えた!しかも意外と近い!

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薬師岳小屋を越え、岩の間の斜面を登ると、薬師岳に到着。
森林限界を越え、花崗岩の白い稜線が目の前に現れます。
やっほう!なにこれ、楽しい!

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ここからが今回のハイライト区間
薬師岳まで行ったら、足の様子を見て先に進むかどうかを考えよう、と思っていたのですが、稜線に出てみたらもう、この絶景の中を進まないなんて考えられなくなってしまいました。
雨もたまに小雨が降る程度。こんな感じなら、もうただただ楽しいだけです。いつの間にか、膝の痛みもどこかに行ってしまいました。
観音岳の手前で、前から来た登山の2人組に「あいにくの天気ですね」と声をかけられましたが、思わず「え?」と一瞬答えに困ってしまい、「めっちゃ楽しいですよ!」と答えました。同じものを見ていても捉え方はいろいろです。

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この辺りは、北岳仙丈ヶ岳方面の景色が良いはずですが、あいにく今日は雲に覆われていて、結局一度も北岳を拝むことは出来ませんでした。

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三山の中でも最高峰の観音岳に到着。
薬師岳からは上りもなだらかで、気付いたら着いていた、という感じでした。
山頂で、ワラーチサンダルを履いた5,6人のトレランパーティーと遭遇。
「サンダルでこんなところまで来たんですか」と驚きながら聞くと、「上りも軽いし、岩にしっかり張り付くし、むしろサンダルの方が楽ですよ」という答えが。
いやー、どうかなあ。
「僕もルナサンダル持ってるんですけど、こんなところに来ようと思ったことはないです」と話すと、「ぜひ今度試してください」と念を押されてしまいました。
ちょっと半信半疑ですが、一度試してみますかね。

この日は他にも、トレランしている人に何人も会いました。
普通の登山をしている人よりも、トレランの人の方が多いくらいでした。

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観音岳を越えると、向こうに地蔵岳が見えます。
ついにオベリスクが姿を現しました。こちらから迫っていくと、ラスボス感があります。

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観音岳から地蔵岳は、少し下ってまた登り返し。
岩の斜面を登って行くと・・・

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どどーん!ついに目の前に地蔵岳が現れます。
広河原から登ってきたガスが立ち込め、オベリスクがうっすらと見え隠れ。
なにやら怪しい雰囲気に。

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賽ノ河原に降りるとお地蔵さんが並んでいます。
子宝に恵まれる事を祈る夫婦が、ここから地蔵を一体持ち帰って、子どもを授かったら二体にして戻す、という風習があるとか。
それでお地蔵さんが増えていくんですね。(増えたということは、2組に1組以上は子どもを授かることが出来たのでしょうw)
ちょっとやさしい気持ちになります。

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あわよくばオベリスクにも挑戦!と思っていたのですが、山頂に近づくと激しい雨が降ってきました。
ただでさえ難しそうな岩なのに、濡れていてはさすがに、ということで、ここで引き返します。
いつか登ってみたいです。

ということで、結局あれよあれよという間に、最終目的地だった地蔵岳まで来てしまいました。
なんだかんだやっている間に、4時間近く経過しており、すんなり帰ったとしても合計7時間、16時頃になりそうです。
「午後の雨が強くなる前に戻ろうか」と思っていたのに、結局1日登山になりました。
さて、戻りましょう。

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赤抜沢ノ頭まで戻って振り返ると、雲が晴れて地蔵岳がくっきりと見えました。
一度はしっかり見られて良かった。
オベリスクに別れを告げて、観音岳に向かう稜線を戻ります。

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観音岳地蔵岳の間にいる老松。
勝手に「暴れ牛」と名付けさせて頂きました。
なんと、この姿でこの木は生きていて、上に枝や葉がついていました。

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行きに走っている写真を撮った場所も、帰りはガスガス。
人もいなくなって、そそくさと帰り道を進みます。

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雨が降ってくるとよろこぶのは緑たち。
木や苔が、しっとりと、雨に濡れながらよろこんでいました。
木の気持ちになれば、こちらまで雨がうれしく思えてきます。

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森のなかでは、鳥たちが「雨が降ってきたぞ〜」とでも言っているのか、さかんに鳴いていました。

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南御室小屋を過ぎた辺りで、さらに雨が激しくなってきました。
濃い雲に覆われ、急に暗くなります。
いよいよ前線が本格的に近づいてきたのでしょうか。今回の雨は、簡単には止まなさそうです。
幸い樹林帯に守られて、身体が激しく雨にさらされることもなく、ウィンドブレーカーを羽織りながら、止まらず進み続けます。

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下りは膝を傷めないように、細かいステップでゆっくりと走りました。
おかげで最後まで、それほど痛みは出ず、無事に帰ってこれました。
夜叉神峠の小屋に近づいた辺りで、ふと、「ああ、これでまたしばらく高い山ともお別れか」と思うと、ふと名残惜しくなり、森の中で立ち止まりました。
降り続く雨の音、周りを取り囲む木々の色、湿気を含んだ少し冷たい空気。
山をたくさん、深く、お腹の中に吸い込んで、となりに生えていたダケカンバの幹に手を添えました。

ふう。
また来るよ。
ありがとう。

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峠から駐車場に下る道を降りて行くと、雨が小降りになり、明るくなってきました。
最後にまた、鮮やかな緑に見送られて、山をあとにしました。