滋賀県一周トレイルに挑戦!その5

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未知の道へ(2017年5月22日)

朽木で目覚めた3日目。
今回の旅に出る時には、「まずは週末やってみて、その後続けるかどうかはそこで考えよう」と思っていましたが、ようやくここから本格的に知らない道に入れること、身体もまだ動くこと、天気が良いことを考えると、特にやめるという選択肢は考えられませんでした。

自然な流れで、スタート地点に向かいます。なんとなくこんな感じで、最後まで行けちゃったりするのかな、という考えも浮かび始めました。

今日のコース、まずは、昨日やり残した叫び越えを越えて桑原に降り、そこから高島トレイルが始まります。

高島トレイルの全長は80km。全部を一気に行くのは難しいので、今日は前半が終わる若江園牧場まで行けると良し。
そこまで45kmほどありそうでかなり長いですが、途中で降りても、また明日登り直さないといけなくなるので、ぜひ前半はクリアしたいところ。

一度高島トレイルに入ると、給水はほとんどできません。
唯一、おにゅう峠には車で上がれるので、そこで水分と食料を補給してもらって、残りは背中に背負って走り通す計画です。
自ずと、水が多くなり、ザックがいっぱいになったので、ドローンを背負うのは諦めました。

叫び越えで叫びたい気持ちに

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まずは最初の叫び越えから。早めにここをクリアして、高島トレイルに入っていこう、と歩きはじめますが、いきなり道がありません。
ううむ。これは嫌な予感。

叫び越え。桑原の集落と朽木方面を結ぶ峠道で、現在車道が通じている入古谷越を随分ショートカットできますし、ここを越えて反対側に行く人は結構いるんじゃないかと思っていたのですが。。

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峠の東側の道は、古い北山の山と高原地図では実線ですが、最近の版では点線になっています。それでもともと不安はあったのですが、とりあえず入り口からしてどこが道かよく分かりません。川には橋も何もありません。

仕方がないので靴と靴下を脱いで裸足になって、川の中を横切り、地形を見ながら谷に沿って登っていきます。

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それでも最初のうちは、まだ歩きやすかったのですが、次第に川の傾斜が出てくると、上手にルートを取らないと進めなくなってきました。
川の両側に大きな岩が出てきて、うまく越えられなくて反対側に戻ったりしつつ登っていきます。

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が、トチの大木を過ぎたあたりで、いよいよ川沿いにうまく進めなくなってきました。

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仕方なく、左側斜面を強引に上までよじ登ってみたのですが、斜面があまりに急で、そこから本来道があるはずの谷に戻ることができなくなってしまいました。
仕方がないので、そのまま南向きに斜面を上へ上へと登っていきます。

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本来のルートからはだんだん外れていきますが、崖のような斜面を戻るくらいなら、大回りして尾根沿いに進んだほうが安全だと考え、そのまま尾根の上へ。

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一応尾根の上にいる限りはそれほど危険はなく、多少踏み跡もあって、尾根伝いに南から大きく巻く形で叫び越えの峠に着きました。
いやあ、厳しかった。本当に叫びたくなりました。(いや、叫んだかも。)

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こちらが山と高原地図のルート。

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こちらが僕が通ったルート。

それほど標高はないし、すぐに越えられると思っていただけに、思わぬ苦戦を強いられ、時間も使ってしまいました。

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下り道はちゃんとした道でしたが、叫び越えを越えるのに1時間半もかかってしまいました。

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桑原の集落に降りると、地元のおばあちゃんが2人座っていて、「どこから来たのよ?」と話が始まりました。
「叫び越えを越えてきた」と話すと、「あんた、変な人だねえ」といきなり言われました。(まあ、変といえば、変かもしれませんが。)
「あんな道、もう誰も通らないよ。道なんてなかったんじゃない?」と、昨日も聞いたようなことを言われます。
「いやまさに、道がなくて困りました」と話していたのですが、
話していると、「私たちが若い頃は、みんなあの道を通って朽木に買い物に行っていたんだけどねえ。」と言うではありませんか。

え、こんなおばあちゃんがあんな険しい道を?と一瞬思いましたが、いやいやいや、ちょっと違いますね。おばあちゃんが若い頃、ですよね(笑)。きっと若かりし頃、少女時代があったんです。(当たり前だ)
とにかく、地元の人がみんな、あの道越えていたんだ。
それがあんな風になってしまうんですね。
道って不思議ですね。生き物みたいです。

昨日の最後の大彦峠と言い、叫び越えと言い、廃道状態の峠を無理やり越えることが2回も続き、「道がある」ということがどれほどありがたいことか、と痛感し始めました。
いつものトレランのノリで、短パンで歩いていたせいで、すねが枝や石にあたって傷だらけになってしまいました。

そもそもの正解ルートはどれだったか

白倉連山から高島トレイルにつなぐルートは、結局のところ、僕の判断はいまいちでした。大彦峠の下りと、叫び越えの上りは廃道状態でおすすめできません。

後日、Fairy Trailのコースが発表されましたが、60kmコースの該当区間はこのようなコースでした。

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出典:Fairy Trail

西に向かう際は烏帽子岳手前から谷を降り(そちらの道は行けたのか!)、そこから南下して西の尾根に入ります(ここもつながっているのか!)。

戻ってくる時は、叫び越えの一つ北の早谷越えを越え(こちらの道も点線だったのに、こっちは通れたのか!)、大彦峠は通らずに大彦谷林道を上ります(まさかロードで上るなんて!)。

レースで使うくらいですから、ちゃんとそれぞれ通れる道なんでしょう。今回は、地図とネットの情報だけでルートを決めましたが、ことごとく外してしまいました(笑)。

他のルートに行っていないので、最終的には行ってみないと分かりませんが、今回の正解は、烏帽子岳手前から降りて、小川集落から西の山に入り、イチゴ谷山を抜けていくルートだったんじゃないかと思います。

もう一度行くならそのルートで行きたいですし、次に行く方がいればそちらをおすすめします。(こんな変なことをやる人がいればですけど。)
それにしても、情報は大事ですね。

高島トレイルはじまる

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桑原の集落で少し休憩して、9時半前に、ようやく高島トレイルに入っていきます。
高島トレイルは全長80km。日本国内のロングトレイルの中でも、距離が長い部類に入るトレイルです。

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出典:高島トレイルクラブ

以前から行きたいとは思いつつ、なかなか来る機会がありませんでした。こうやって滋賀県を一周するついでに、全線踏破できるのは一石二鳥な感じがします。

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入り口には、ちゃんとトレイルの道標が立っており(なぜかハングルも書いてある)、少し進むと黄色い「中央分水嶺高島トレイル」と書いたテープがところどころに巻きつけてあります。これは期待が持てます。ちゃんと道がありそうです。(期待値が低すぎでしょうか)

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ほどなくして丹波越まで上がると、ここからはずっと中央分水嶺の稜線を進みます。右側に落ちた汗はびわ湖から太平洋に、左側に落ちた汗は日本海に行くわけですね。(その前に蒸発するし、とか言わない)

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ブナの木や、いろんな自然の木々に囲まれた稜線を快調に進みます。道も良いです。

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三国岳を越えてしばらく行くと、一度標高をぐっと下げて、少し道が不明瞭に。このあたりは、歩く人が少ないみたいです。細かいアップダウンが続く道になり、なかなかの急斜面。

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小さいピークごとに、道標が立っているので、それを確認しながら、カベヨシ(これも急登だった)を越え、地蔵峠に。
ここは京大芦生演習林の入口になっています。

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さらに細かいアップダウンを繰り返しながら三国峠、クチクボ峠へと進みます。この辺、地形がかなり複雑で、ぽこぽこと小さい塊を右に左に登っては降りて、とやっている間に、さっき登ったところに戻ってきたんじゃないか、と錯覚するような尾根でした。

左側は京大の芦生演習林。厳重に保護されているだけあって、原生林が元気に育ってます。

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クチクボ峠を越えると、もう少し地形が分かりやすくなってきて、しばらく行くと右側の谷の向こうにおにゅう峠に向かう車道が見えてきます。ここからおにゅう峠はもうすぐ。

待ちに待った補給ポイントに到着!と、思ったら、ここでまたトラブル発生。自動車が脱輪して動けなくなってしまい、峠に上がって来れていませんでした。それはそれで一大事なのですが、すぐに救出に行くこともできません。(僕も朝からわりずっと一大事気味)車の方は、JAFさんに助けてもらうとして、さてどうしよう。(運転するにも道が厳しすぎですよね。)

ところが、しばらく待っていると、通りがかりの親切なバイクの方が、代わりに補給を背負って峠まで届けてくださいました。なんてご親切な。
よくよく話を聞いてみると、同じ車種の車に乗っているらしく、「車種が同じなので助けなくちゃと思った」とのこと。ラッキーとしか言いようがありません。

おかげさまで、ここで幸いにも水分補給ができました。(水がなかったら、一度降りるしかありませんでした)

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無事に水分は確保できたものの、またしても時間がかかってしまい、すでに時間は14時50分。残り距離はまだ20km以上あります。なかなか厳しいです。
どうしようもなくなったら、どこか途中で下に降りれば良いと思い、とにかく前に進みます。

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鯖街道ウルトラマラソンのコースにもなっている、根来坂峠を越え(歴史を感じる風情ある峠でした)、百里ヶ岳へ。

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ここから北に大きく回り込むような形の稜線に入り、木地山峠、桜谷山、与助谷山、駒ケ岳へと進みます。

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このあたりの稜線、実際の標高よりも高い山にいるような雰囲気があり(植生の影響でしょうか)、良い雰囲気でした。
決して絶景が見渡せるとか、そういう派手さはありませんが、何か、山にいることに集中できるというか。

北には若狭湾、南東には琵琶湖を一望できる、自分自身が日本列島の高みにいることが実感できる…まさに至宝のひとときです。水と緑、そして山と語り、風と遊び、自分と向き合う時間。それはきっとあなた自身にとっての「本当の価値」となることでしょう。

http://search.michi100sen.jp/b/michi_portal/info/C125003/?t=list

これは、1000の道に掲載されていた、高島トレイルの紹介文です。
そうそう、まさに「自分と向き合う」という感じ。高島トレイルの中でも、この区間が一番、「自分と向き合う時間」を感じました。
「あなた自身にとっての本当の価値」ってなんなんだ!という深い問いを突きつけられている感じがしますが、なんとなく、言いたいことが分かる気もしました。

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駒ケ岳の頂上でおにぎりを食べ、ここで道を間違えて北に降りてしまいます。こういう時間のない時に限って、やってしまうんですよね。

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少し降りてから気付き、戻って来て正しい道へ。南尾根を進みますが、どんどん日が落ちてきます。
西日に彩られた森は、とっても雰囲気があって、道も最高に走りやすいのですが、やはり時間がないので少し焦ります。

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池原山の分岐や横谷峠で、「このあたりで降りてしまったほうが良いだろうか」と一瞬考えますが、残りは下り基調であることを考えると、まだ明るさの残っているうちにゴールできる可能性はありそうだったので、進むことに。

横谷峠は想定と違って舗装林道だったので、ここでも一応補給はできるようでした。

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行者山への分岐を越え、最後の尾根を下ります。もう上りは終わりだろう、と思ってからも、何度か小さな上りが現れ、まだか、まだか、と進み続け、ようやく若江園牧場に到着。

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長かった〜。山を降りた時には、19時を過ぎていました。
一応ヘッドライトは使わずに降りてこれましたが、ぎりぎりでした。日が長いのに助けられました。

今日の距離45.2km。累積標高2946m。行動時間11時間30分。
いろいろ最長です。

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高島トレイルは、結局とても良い道だったのですが、他のところで朝からいろいろあり、少し厳しい一日になりました。
今度はもうちょっと余裕を持って、味わいに来たいです。

この日も、昨日と同じく朽木のてんくうに宿泊。なんと、スタート地点よりも、ゴール地点の方が宿舎に近いという、不思議な現象が発生しました。
高島トレイルの西側に向けてぐうっと広がっている区間を走ったので、そうなるわけですが、進んでいるのか後退しているのかどっちなんだよ!と軽くツッコミ入れつつ、宿舎に向かいました。

随分遅い時間になってしまいましたが、温泉に入って食事して、早めにやることを終えて、明日に備えます。
明日は高島トレイルの後半。後半もまた、40kmあります。ちゃんと回復できるかな。

(つづく)