滋賀県一周トレイルに挑戦!その7

奥伊吹の山々へ(2017.5.26)

いよいよ奥伊吹の山々へ。ここは滋賀県一周の中でも、特別山深いエリア。道も整備されておらず、熊もよく出るそうです。一周コースの中でも、一番の難関区間と言えるでしょう。

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昨日進めておいた、横山岳の登山口から、西尾根に入ります。

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ここはよく整備された道。

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高度を上げていくと、周りの山々が見渡せるようになってきます。さすがに、山が大きい。

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1時間半ほどで横山岳に到着。順調です。

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さて、ここからが問題の区間。今回の計画では、このように、横山岳を過ぎたところから北の稜線に入り、そのまま県境稜線に出て土蔵岳、八草峠を経て、金糞岳に向かうルートを考えていました。

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一応ヤマレコには、このルートを歩いた記録が上がっているのですが、さて、道はあるのかどうか。

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どきどきしながら、東尾根を分岐点まで向かいます。

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地図的には、分岐点はここ!え!?こ、こ、これは。。w
ご覧のとおり、道も何もない、ただのヤブですw。うーむ、やっぱりそうでしたか。。
ひとまず、これを見ただけで諦めるのもなんなので、このヤブをしばらく進んでみることに。
それで、どれくらい進みやすいか確認してみてから、ルートを変更するかどうか考えることに。

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ヤブです。木が多くて進みにくいです。

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やっぱりヤブです。

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にょほー。いけどもいけども、木が立ちはだかって、なかなか進まないです。

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ヤブ漕ぎしながら500mほど進んでみたんですが、500m進むのに20分かかりました。ということは、1km40分。
どこから登山道が再び現れるのか分かりませんが、仮に土蔵岳まで道がないとすると、そこまで約7km。約8時間。
さらに、土蔵岳を下る途中から八草峠に向かう道も怪しいので、そこも考えると、八草峠まで辿り着くだけで一日が終わってしまいそうです。
それでもまだ、たどり着ければ良いですが、もし仮に途中で何かあっても、そう簡単には助けに来てもらうこともできません。
(そもそも、これを「滋賀県一周トレイルコースです」と提示したところで、後から続く人にとてもおすすめできるルートではありませんし)

さすがに一人でこれに突っ込むのは危険だし、引き返すことにしました。
横山岳から、東尾根コースを一度下まで降りて、八草峠から再び県境稜線に登り返すコースに変更です。

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東尾根コースもよく整備された歩きやすい道でした。

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ほどなくして、林道の入口に到着。

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しばらく国道303号の旧道を走り、旧峠道の分岐地点へ。ここにゲートが有り、ここから先は車は入れません。

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八草峠の旧道を峠に向けて登ります。ここは昔サイクリングで走りに来たことがあります。まさかまた、足で歩くことになるなんてね。

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八草峠に到着。結構峠道は長かったです。
ここまで自転車でバトルしたときのことを思い出しました。

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八草峠からしばらくは、ダートの林道を登っていきます。このあたりはまだ、道があって進みやすかった。

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問題はこの、林道が終わって、県境稜線に入っていく部分。
地図ではこのように、999mピークの少し後に、林道と稜線か接近する部分があり、その後林道は稜線から離れてしまうので、ここで稜線に取り付くのが良さそうです。
が、実際に行ってみると、なかなか稜線に入れる場所がありません。仕方がないので、崖を無理やりよじ登って稜線に出てみるも。。

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ヤブ!出た、またしても。

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さっきの横山岳の時にもまして、激しいヤブです。木の密度がすごい。

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進まねー!
木をかき分けながら、奮闘している間に、いつの間にかストックを片方落としていました。
気づいてまた戻ってストックを探したりしているうちに(なんと見つかりました!)、ここでも随分時間がかかり、1.5km進むのに1時間かかりました。

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1085mピークを過ぎたあたりから、少しテープが出てきたりして歩きやすくなりました。

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もしかしたら、林道終点まで行って、そこから登るルートがあったのかもしれません。(先ほどの地図の下の矢印)(あくまでもしかしたら、ですw)

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1161mピークで金糞岳の登山道と合流すると、一気に歩きやすくなります。ここまでたどり着けば一安心。あー、よかったー。

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稜線を歩いていくと、次第に展望が開けてきます。

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絶景区間!道も良くて最高!

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しばらく進むと、白倉岳に到着!
この山を単独峰と見るかどうかは微妙なところだと思いますが、1270mは金糞岳に次ぐ高さ。単独峰として数えたら、滋賀県第3位の高峰ですね。

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その後も気持ちの良い稜線を進んで、

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金糞岳に到着!道もいいので気分が良いです。

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さて、ここからがまた難問。鳥越峠から先をどう進むか。
もともとの計画では、金糞岳から下ってきて、県境稜線を鳥越峠に降りる予定でした。しかし、そんな道はありませんでした。
仕方なく、2.のルートで峠から数キロ下の舗装道に。

ここで一旦、車で鳥越峠に移動して、峠付近の様子を偵察。
1.や3.のルートが、どれくらい道があるのか見に行きました。
行ってみると、1と3の分岐までは道があり、その後も、両方の方向にテープが巻かれていて、そこそこ進めそうな感じでした。(少なくともさっきのヤブ漕ぎ区間よりはずっとまし)
こちらはもしや、先に進めるのかもしれません。
が、少なくとも今日に限っては、もう時間が足りません。今日のところは、2.の先の金糞岳登山道を下り、下に降りることにします。

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金糞岳の中津尾根コースを下って、登山口に到着。
明日、もし七廻峠からスタートするとしたら、ここまで戻ってこなくて良いように、ロードを5km、峠の入口まで走ってこの日は終了。
距離44km、累積2667mの行程になりました。
途中なんどもヤブ漕ぎがあり、やはり厳しい一日になりました。


奥伊吹2日目(2017.5.27)

鳥越峠から続く県境稜線が、思いの外進めそうな道だったので、もしかして県境稜線をずっと伊吹山まで進めるのかもしれない、と思い、facebookで、「鳥越峠から伊吹山って、歩けますか?」と情報を求めてみました。

そうしたらなんと、母から、「昔伊吹山から金糞岳まで、県境を縦走したことがあるよ。道があったと思うけど。」という連絡が。まさかの母親からw。
そう、母は大学時代にワンゲル部だったんです。それにしても、血は争えないですねw。
ちゃんと道はあったと言うのですが、「ただし、50年前だけどね!」だって。あてにならんー。

それで、引き続きfacebookで情報を求めていたところ、なんとお二方から有用な情報が。

赤井宏充さんからは、

詳しい人に聞きました。数年前に道は消滅、今は歩くのも結構大変で前に遭難して死んでるから やめた方がいいそうです。 行くなら国見峠?

とのこと。そして、新田康昭さんから、

はじめまして。(中略)
私が所属している山岳会が以前に県境踏査をしており、ブンゲン~虎子山はかなりの藪漕ぎとの記録が残っています。今回近藤さんの挑戦を知り、この踏査記録を読んでいるうちに湖北の山に行ってみたくなりました。報告楽しみにしています。

とのこと。やっぱりこういう情報をご存じの方がいらっしゃるんですね。そしてすごいです、facebook。情報を拡散してくださった方にも感謝。
これは諦めたほうが良さそうですね。前日のこともあるし。

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諦めもついたので、安全目に国見峠から伊吹山北稜線に入るルートで進むことにしました。
ロードが長いですが、ヤブ漕ぎばかりしていると、たまにこういうのもありがたく感じます(笑)。

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昨日走っておいたのも無駄にならず、朝一番でロードの七廻峠を越え、国見峠に。こちらも長いロード。朝から16kmくらいロードが続きます。

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国見峠もサイクリングで何度か来たことがあります。まさか走ることになるとはねw。そして、長いこともよく知っています。

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しばらく登っていくと、右に伊吹山が見えてきます。そんなに遠くないです。

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16km走って、ようやく国見峠到着。ふう。

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ここから伊吹山北尾根縦走路に入ります。人気のコースだけあって、歩きやすい雰囲気の良い道。楽しい。

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国見岳から始まり、小さい山が、3つか4つ続きます。登山者の方も何組もいらっしゃいました。

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途中に、登山道についての解説が。3年間で1000人以上の方々が尽力され、道を開いたとのこと。そんなに大変だったんだ。
なんだか、「道がある」って、すごいことなんだな、と思いました。

今回の旅は、常に「道があるかどうか」を探りながらの旅でした。普段、道があるって当たり前のことに思っているけど、実はそんなに当たり前のことじゃない。

たとえ50年前に道があっても、誰も通らなくなれば道が朽ちてしまって、遭難者が出るような状態になってしまうこともある。
そうかと思えば、1000人もの人が道を開いて、登山者に愛される道になることもある。

昔は集落の人々が買い物に行くために通る峠道だったものが、自動車道ができて朽ちてしまうこともある。
トレイルランのレースを開催するために、整備される道もある。
地元の人たちに愛されて、子どもたちが遠足で登る道がある。

道があるってことは、そこにまず、人の思いがある。それから、道が道で有り続けるだけ、人が通っているということ。
その思いや理由はさまざまだけど、「人間の思いと行動」がある程度蓄積していないと、道にはならない。
そういうことを感じた旅でした。

普段何気なく通っている道だけど、そこにどうして道があるのか、これからはもう少し感じられるようになりそうです。

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御座峰を越えると、さらに伊吹山が近づいてきます。
花を前景に写真を撮りましたが、ちょっとイメージと違いましたw。

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ピークはあと1つかな。振り返ると、ここまで越えてきたピークがぽこぽこ並んでます。

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最後のピークを超えると、伊吹山へ。

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山頂付近は、風が吹いてきて寒かったです。

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そして伊吹山登頂!滋賀県最高峰。今回の一周コースでも最高峰です。
いやあ、なんだかたどり着いた感があります。

8日前から歩き続けてきましたが、日程の都合で、一旦今日で中断することにしました。
だから、ひとまずこの8日間では、ここが最後のピーク。そして最高峰。ようやくここまで来ました。
達成感、顔に出てますね。

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頂上はガスガスだったんですが、しばらく下っていくとガスが晴れてきました。

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おおおー!琵琶湖が見える。鈴鹿山脈も見える。(この後は、あの山に行くんですね〜)

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気持ちいいっす。

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登山客や、こどもたちもたくさん。賑やかな山です。景色も良くてよかったね。

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鈴鹿山脈の入り口、柏原駅まで走って終了。
全長450kmの滋賀県一周トレイルのうち、これで390kmくらい踏破しました。
残すは、鈴鹿山脈の北半分。60kmほどの道のりだけ。

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最後の区間を残して、一旦家に帰ります。
8日間、連続で走り続けましたが、なんとかここまで来れました。

最初は毎日疲労が溜まっていって、「続けられるのかな?」と思いました。
5日目くらいに、「もう帰りたい」って一番思ったんですが、そのあたりがボトムでした。
そこからだんだん身体が慣れてきたのか、毎朝同じような感じで迎えられるようになってきた気がします。

後半は、まるで仕事に行くみたいに、「さあ、今日もやるか」という気分で走り始め、淡々と一日走って終わる、というサイクルをこなせるようになりました。

途中で道が無かったり、怪しい区間が多く、それが一番苦労しましたが、道があるってどういうことか、自然と人間の関わりについて、感じられる旅になりました。

奥伊吹エリアでは、計画通りに進むことができず、心残りな区間もありますが、それでも主要な山々には登ることができて、現時点ではこれがベストコースではないかと思います。

この思いが途切れないうちに、近く最後の鈴鹿山脈区間を踏破して、滋賀県一周を完成させたい、という思いを胸に、家に帰りました。(つづく)